猟奇犯罪特捜室に最大の危機、到来!! 京都の地で何者かの襲撃を受け梁の助けで一命を取り留めた鐘巻管理官は、その後「ヨハネの子羊教団」元信者・野々口の殺害現場で死んだはずの兄・賢人と思しき人物を確認した。「殺人鬼を創造した」と語る脳科学者・神宮義道の足跡を追って香港へと飛んだ油小路と鐘巻。その地で彼らは、梁が別人による「なりすまし」であり、その課程で、死んだはずの鐘巻の兄・賢人が“悪魔の実験”に加担していたという事実を掴む…!! 同じ頃、死刑囚・神宮正義の命運を握る法務大臣の背後に 賢人の存在が浮上した―― 終わりなき“殺人リレー”の黒幕は、やはり鐘巻の兄なのか!? そして特捜室に、甚大な危機が押し寄せる…!!
カルト教団の残した巨大な連続殺人計画をめぐるサスペンス・スリラー。 モデルになっているのは地下鉄サリン事件の周辺だと思いますが、作品のテーマは人間心理と脳科学です。 殺人者を人為的に作り出すことが出来るか、なぞらえ殺人、登場人物たちを善と悪、天使と悪魔、という対立項に落とし込み対決の行方を見届ける…定番といえば定番のモチーフですが、語りが達者なので緊張感があります。 『羊たちの沈黙』『クリムゾン・リバー』『ミレニアム』あたりの雰囲気が好きな人は先が気になって読んじゃうやつですね。 デスゲームとかモンスターで派手に人が死んでいくマンガは増えてますけど、本作みたいに地道な狂気を描くスタイルはドンドン貴重になっていく気がするな…。