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あらすじ

淀みなく流れる街の“時間”にはさまざまな秘密が浮き…また沈む。その秘密を抜いて行くスリがいた。九頭竜と呼ばれる人形使い。前科0犯。1年待ってほしい。1年たったらルウや好子さんとくらべて… そうみのりに言われ、自らもスリから足を洗うことを決意した灯はスリの神様と呼ばれる三ツ池伝造の口利きでシマを他に譲り、スリの世界を離れる。しかし安堵もつかの間、灯の周りに新たな事件が起こるのだった。灯たち人形劇団V(ファイブ)を常にサポートし励ましてきた斗賀刑事が姿を消したのだ。灯は消息を探ろうとするが、彼は既にスリの世界から身を引いたため、その情報網は使えない。人形劇団Vの好子は灯が元の世界に戻らないように気遣い、自ら風のルウに情報提供を頼みに行くが、今度はその好子の行方がわからなくなる。意を決し、もう一度“九頭竜”に戻って事件を追う灯。だが、その灯の前に姿を現したのは思いがけない人物だった! その他、ルウと共に仕事をしていて瀕死の重傷を負った灯、その灯をめぐってのルウ、みのり、好子、それぞれの想いを描く「ひとつの愛し方として」、かつて忽然と姿を消したみのりの幼馴染をめぐる事件にみのりが一人で挑む「だるまさんがころんだ」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第最終巻! 小山田先生の当時の単行本コメント 『なぜ、この作品を描こうと思ったのか…、二年半描き続けて完結した今、ふり返ってみても、どうしてもそれが思い出せないでいます。たぶん、先へ先へ描くことで、毎日精一杯だったのでしょう。実際、今までで一番苦労の多い作品でした。けれど、その分、一番得たものも多い作品でした。何はともあれ、この作品が、僕は好きでした。』
マリオネット師【第1巻】
九頭見灯(くずみともし)は、家庭を顧みない両親、退屈な学校生活に嫌気が差し、スリに身を落としている。ある日、灯は悪名高い政治家からスリを働く。彼の師匠・政二郎は危険を感じ、灯のスった財布を戻そうとするが、財布と一緒にスった手帳が原因でその政治家の秘書に殺害されてしまう。灯は参考人として警察に呼ばれるが、河鹿川署の諸戸刑事は彼の境遇を知り、人形劇団「泡雲」に彼を紹介する。以来、灯はマリオネットを相棒としたスリとなる。 マリオネットをつれた天才スリ師『九頭竜(くずりゅう)』が財布の中からドラマを盗む! 「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第1巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『10年ほど前、当時の国電の車内で、一度財布をすられたことがあります。幸い被害は二千円ですみましたが、いつすられたのか全くわからなかったのには、感心しました。そしてそれからです。東京に行く時は、胸ポケットにはダミーの財布を入れるようになったのは。中にはスリが頭ふっとぶほどの悪口を書いた紙が入っているのですが…以来一度もすられないのです。おもしろくないな…。』
マリオネット師【第2巻】
九頭見灯(くずみともし)16歳…マリオネットを操るスリである。人が財布にしのばせた喜びや悲しみ、恨みや秘密をスリならも、いまだ前科0犯。彼の境遇を知った諸戸刑事から人形劇団「泡雲」を紹介された灯は、彼に人形劇を勧めるメンバー達に反発しながらもその優しさに次第に心を開いてゆき、やがて灯と劇団「泡雲」を率いる桜辺一彦と妹の好子、そして「泡雲」のメンバー達は互いに協力し、力を合わせて共に困難に立ち向かってゆくようになり……。マリオネットつれた天才スリ師『九頭竜(くずりゅう)』が財布の中からドラマを盗み大活躍! 「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第2巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『毎年11月になると、我が家のブロック塀の南側に、北にある道路をへだてた畑から、青虫(モンシロチョウの幼虫)が大勢やってきてサナギになります。考えてみるとずいぶん不思議なんです。連中はなぜ、10メートルほどもはなれた所に暖かい場所があることがわかるんでしょう? しかも道路をこえて数十匹で来るのす…。何か未知の能力を持っているようで…こわいよォ!!』
マリオネット師【第3巻】
人は財布に現金を入れる…人は財布に心を隠す…その財布に詰まった物語を抜いて食べてゆく男がいる…マリオネットを連れたスリ、九頭見 灯、前科0犯。スリとしての生活を続けながらも劇団「泡雲」のメンバーと共に人形劇を演じるようになった灯だが、自殺しようとしたところを灯が救った女子高生、生方みのりには少々振り回され気味の毎日。殉職した諸戸刑事の後輩である斗賀刑事と灯の姉、蛍はそんな皆を優しく見守る。ある日、劇団泡雲の前に現れた一人の男…彼はかつて「マリオネットの神様」と呼ばれた人形使い、相馬一同だった。実は彼は家出をして東京に出て行った息子の俊六を探しに来ていたのだ。俊六が裏の世界に入ろうとしている事を知った灯はそれを止めるため俊六と相まみえる事となってしまったのであった…!! その他、泡雲メンバーが雪の中での殺人事件に遭遇する「純白の舞台」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第3巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『僕は、バイクの免許も自動車の免許も持っていません。なぜか、危険物取扱者の免許があるだけです。もともと歩くのが好きですし、健康のためには、このままの方がいいと思うのですが、〆切間際に原稿を、三キロ走って郵便局に届ける時だけは、自動車の偉大さが身にしみるのです。』
マリオネット師【第4巻】
人は財布に現金を入れる…人は財布に心を隠す…その財布に詰まった物語を抜いて食べてゆく男がいる…マリオネットを連れたスリ、九頭見 灯、前科0犯。灯の姉、蛍が外科部長を務める九頭見病院。ある日、その九頭見病院に一人の男が押し入り蛍を連れ出す。斗賀刑事と灯は九頭見病院に駆けつけるが、灯の両親は犯人が灯の仲間に違いないと灯を責めるばかりだった。一方、男は蛍に重症を負った強盗仲間の治療を強要するが、怪我をしていたのは蛍のかつての恋人、赤星だった。赤星の傷は重く、即刻入院しなければ命が危ない。しかし今は手持ちの僅かな器具で彼の命を繋ぎ止めるしか無い…。僅かな手がかりを頼りに蛍の行方を追う斗賀と灯、赤星を強盗に手を染めるまでに追い込んだのは自分ではないかと自らを責める蛍。果たして、灯は蛍を救出する事は出来るのか!? その他、貸金業の両親の元で追い込まれてゆく子供の心を灯が救う「飛び立つ季節」、灯とみのりが片田舎の温泉で行方不明になったみのりの友達を救出する「旅芸人」などを収録。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第4巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント。『「マリオネット師」3(前巻)で、いつのまにか、秋田書店から出していただいた僕の単行本も、40冊になりました。本当に、いつのまにか…という思いです。そしてこの、第4巻が41冊目。まだまだ、描きたいことが、山ほどある…この気持ちを忘れないために、これが一冊目の単行本のつもりで、また、長い路を歩ければ…と願っています。』
マリオネット師【第5巻】
「あたし、死んじゃったの、灯さんがあまりも冷たいから…」、「本当に…本当に好きだったよ灯さん」…真夜中の電話の後、みのりが姿を消した。そんなある日、とある河川敷で黒焦げになった女性の遺体が見つかる。ニュースは女性をみのりではないかと報道していた。現場に来た灯は同じく現場に来ていたみのりの同級生から、みのりがある日、男に追われていた通りすがりの外国人女性に助けを求められていたことを知る。俊六と共に女性を追っていたという男を辿ってゆく灯。やがて灯は男が暴力団「六七ハチ組(むなはち組)」の者であることを突き止め、追い詰める。むなはち組が隠し持っていた武器、弾薬に爆破のタイマーを仕掛けた灯は男の口から「みのりがまだここに生きて監禁されている」ことを聞かされるが… タイマーは既に時を刻んでいた! 果たして、灯と俊六はみのりを救えるのか!? その他、カルガモを通してのバードウォッチャーとの触れ合いを描いた「七色の森」、霧の中で起きた連続殺人事件に灯が挑む「霧の人形伝説」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第5巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『先日、しばらく見なかった悪夢を、久しぶりに見てしまいました。それは、寝る前の仕事の続きをやっている夢なのです。見事原稿が完成したとたん、目がさめる…ああ、その瞬間の脱力感。その時だけは、石の下のワラジムシにでもなってしまいたいっ!!──本気で思うこともあるのでした。』「あたし、死んじゃったの、灯さんがあまりも冷たいから…」、「本当に…本当に好きだったよ灯さん」…真夜中の電話の後、みのりが姿を消した。そんなある日、とある河川敷で黒焦げになった女性の遺体が見つかる。ニュースは女性をみのりではないかと報道していた。現場に来た灯は同じく現場に来ていたみのりの同級生から、みのりがある日、男に追われていた通りすがりの外国人女性に助けを求められていたことを知る。俊六と共に女性を追っていたという男を辿ってゆく灯。やがて灯は男が暴力団「六七ハチ組(むなはち組)」の者であることを突き止め、追い詰める。むなはち組が隠し持っていた武器、弾薬に爆破のタイマーを仕掛けた灯は男の口から「みのりがまだここに生きて監禁されている」ことを聞かされるが…タイマーは既に時を刻んでいた! 果たして、灯と俊六はみのりを救えるのか!? その他、カルガモを通してのバードウォッチャーとの触れ合いを描いた「七色の森」、霧の中で起きた連続殺人事件に灯が挑む「霧の人形伝説」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第5巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『先日、しばらく見なかった悪夢を、久しぶりに見てしまいました。それは、寝る前の仕事の続きをやっている夢なのです。見事原稿が完成したとたん、目がさめる…ああ、その瞬間の脱力感。その時だけは、石の下のワラジムシにでもなってしまいたいっ!!──本気で思うこともあるのでした。』
マリオネット師【第6巻】
九頭見 灯。 マリオネットを連れたスリ。財布につまった色とりどりの物語を抜いて食べて行きながらいまだ前科0犯…。灯の元に送り付けられた差出人不明の手紙。封筒の中には灯がスリを働くところを撮影した写真が入っていた。灯はバードウオッチャー・堤まりもの協力を得て、カラスを使って灯を尾けていた男を捕らえるが、それは新たな恐怖の序章に過ぎなかった…。ある雨の晩、スリ仲間のたちきり竜二がズタズタに刺された状態で発見される。傍らには灯に似せた穴だらけの人形。灯は何者かが自分を狙っていると手懸かりを探し出すが、その間に今度はみのりが狙われたのであった。間一髪でみのりを救う灯だったが、その時、敵の魔の手は姉・蛍をはじめ九頭見家全体に及ぼうとしていた…! 男が九頭見家を狙う理由は?そして灯は蛍を、家族を守りきれるのか? その他、電車の中で灯が出合ったのは既に世を去った友人たちだった…「幽霊電車」、海上を遺体となって漂っていた美しい女性は灯のかつての同級生だった…「水中花」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第6巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『最近、歴史に凝っています。江戸時代の風俗や事件の記録などは、特におもしろいし、漫画の参考になることも、しばしば見つかるので、実益をかねて楽しめるのです。今は昔のスリのことを知りたいのですが…よい本があったら、どなたか教えてください!』
マリオネット師【第7巻】
それは、出会ってはいけない二人の男が出会った事から始まった…。ある日、俊六とみのりが歩いているところに見知らぬ男が現れ、灯宛の手紙を預けた。「どうせろくでもない内容だろ」俊六が手紙を開けようとしたところ手紙が爆発。これを灯に知らせに走ったみのりも姿を消した…。折しも台風の接近で街は荒れ模様に。「泡雲」と親交のあるの人形劇団「「エレボス」の倉庫も川の氾濫の影響を受けそうになり、連絡を受けた桜辺たち「泡雲」のメンバーは荷物の運び出しを手伝いに出向くが、その倉庫の隅で桜辺はエレボスを辞めたはずの佐野を見かける。桜辺は不審に思い声をかけるが、振り返った佐野の手にはナイフが握られていた。行方がわからなくなった桜辺を探す泡雲のメンバーたち。その前にもう一人の男が現れる。その男、「手長ウサギ」こと宇佐美 元。彼は佐野が持っていた爆薬を使って、灯たちに復讐しようとしていたのだ。台風に翻弄される中、灯と宇佐美が相まみえる。果たして灯の、そして劇団泡雲の運命は!? その他、灯、好子、みのり、俊六が再び共に歩き出す「V(ファイブ)」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画の決定版! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『本巻の「修羅と緑」のもとになる漫画を描いてから5年。その時、資料にとサボテンを買ってから、少しづつ買い足して、今は7種、10株のサボテンを育てています。信州は寒いので、気を遣って育てているうちに、Vのような装置なしでも、何となくサボテンのきげんがわかるようになった今日このごろです。』
マリオネット師【第8巻】
街はドラマに満ちている。 人は秘密に満ちている。その秘密を抜いて行くスリがいる。 九頭見 灯、人形使い。前科0犯。 風のように近付き、風のようにさりげなくスる女スリ、風のルウこと風無草 留宇。彼女は灯と間違えて俊六にスリ勝負を挑み、灯に止められた事がきっかけで灯に好意を抱くようになる。ある日、花屋でシクラメンを見つけ、それをそっと灯の家の前に置いてくるルウ。それはただの無垢な乙女心だったのだが、それを利用しようとする者がいた。灯がシクラメンの鉢に気付き、手を伸ばした時に鉢が破裂、周りに飛び散った液体はなんと濃硫酸だった。咄嗟に身をかわし難を逃れる灯。灯の話を聞いて怒り、ルウを探し出して激しく詰め寄るみのりだがルウには全く心当たりがない。更に激しく詰め寄るみのり。その時、ルウはみのりの背後から不審な人影が近付いてくるのを見る。危険を感じたルウが取った行動は!? 灯は二人を守れるのか? その他、恵まれない家庭で必死に妹を守って生きる少年に劇団V が送ったクリスマスプレゼント「街路樹」、かつて毎年「泡雲」で来ていた雪山のロッジ、その新しいオーナーに忍び寄る影「飛雪秘話」など。 「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第8巻! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『この8巻には偶然、動物や人の命をテーマにした話が、数本入ってしまいました。最近新聞を読むたびに、命をモノとしか見ていないような事件が目につくからかもしれません。そんな風潮を悲しいと思う好子や九頭竜を描きたかったからかもしれません。』
マリオネット師【第9巻】
街はドラマに満ちている… 人は秘密に満ちている… その秘密を抜いていくスリがいる… 人形使い、九頭見灯、いまだ前科0犯… 偶然のように見えた出会いだったが… 実は…。街で落とした荷物を拾った事から俊六が知り合った美しい女性、精霊田礼。礼は俊六が劇団Vの話をしたところ「田舎にある亡父の家に脚本に使えそうな資料が沢山保存してある」という。俊六はデートの誘いでは?と訝しがるみのりを連れて礼の家を訪れる。そこは膨大な資料が積み上げられた古民家だった。気味悪がるみのりをそっちのけに資料に夢中になる俊六。帰り際、礼の車が故障し、その家に泊まる事を余儀なくされる俊六とみのり。その時、闇が二人の前で口を開く…。その他、かつて名を上げた老スリの見事ながらも悲しい引き際…「疾風のダイ」。 かつて共に医師の道を目指した幼なじみと再会した灯、その胸に去来するものは…「幼なじみ」。 街中でばったり会った非番同士の蛍と斗賀、二人でのんびりするはずが思わぬ事件に巻き込まれる「ふたつの非番」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第9巻! 小山田先生の当時の単行本コメント 『僕は昔から、時折、夢で見た光景をマンガのアイデアに使っています。ここに収められた「幼なじみ」の話も、実は、夢で見た話をアレンジしたものなのです。-ただ、夢の中では、もっとずっと気の利いたオチがあったはずなのに…それが、どうしても思い出せずに、この話になってしまいました。…夢で見た最高のオチ(!)、あなたはどんなもんだと思いますか?』
マリオネット師【第10巻】
街はドラマに満ちている… 人は秘密に満ちている… その秘密を抜いていくスリがいる… 人形使い、九頭見 灯、いまだ前科0犯…。ある日、灯と俊六の元に奇妙な手紙が届いた。好子のアパートの大家に見せるとそれは「赤紙」- 充員召集令状だという。かつて、戦争中に大勢の人々を戦場へと送った忌まわしい手紙だ。その手紙が何故、今我々のところへ… 不可思議に思いながら家へ向かう灯たちだったが、そのあとをつけてきた軍服の男たちに襲われてしまうのだった! 連れ去られる灯と俊六。果たして、男たちの目的は!? 灯たちは無事脱出する事が出来るのか!? その他、女スリ「風のルウ」に声をかけてきた女性、彼女はある事件でルウに恩を感じていたが実はその事件こそがルウをスリの道に走らせた…「6年目の幸運」。犬や猫が惨殺される事件が発生。その凶刃はやがて人に向かい、みのりに危機が…「“X”ザ、リッパ―」。ある寺の住職が残した宝物を巡り、奇怪な事件が起こる「火車」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第10巻! 小山田先生の当時の単行本コメント 『この巻には、落ち着いて描けたせいか、気に入った作品が多く収められています。「反逆水路」「雨宿り」「火車」などが自分では好きなのですが… 特に「火車」は、小さなころ何かで読んだ火車の伝説が、とても怖かった思いがいまだに残っていたので、ぜひ…と思って描いた物です。みなさんはどう見るでしょうか。』
マリオネット師【第11巻】
淀みなく流れる街の“時間”にはさまざまな秘密が浮き…また沈む。その秘密を抜いて行くスリがいた。九頭竜と呼ばれる人形使い。前科0犯。1年待ってほしい。1年たったらルウや好子さんとくらべて… そうみのりに言われ、自らもスリから足を洗うことを決意した灯はスリの神様と呼ばれる三ツ池伝造の口利きでシマを他に譲り、スリの世界を離れる。しかし安堵もつかの間、灯の周りに新たな事件が起こるのだった。灯たち人形劇団V(ファイブ)を常にサポートし励ましてきた斗賀刑事が姿を消したのだ。灯は消息を探ろうとするが、彼は既にスリの世界から身を引いたため、その情報網は使えない。人形劇団Vの好子は灯が元の世界に戻らないように気遣い、自ら風のルウに情報提供を頼みに行くが、今度はその好子の行方がわからなくなる。意を決し、もう一度“九頭竜”に戻って事件を追う灯。だが、その灯の前に姿を現したのは思いがけない人物だった! その他、ルウと共に仕事をしていて瀕死の重傷を負った灯、その灯をめぐってのルウ、みのり、好子、それぞれの想いを描く「ひとつの愛し方として」、かつて忽然と姿を消したみのりの幼馴染をめぐる事件にみのりが一人で挑む「だるまさんがころんだ」など。「すくらっぷ・ブック」で温かな青春像を描いた小山田いくが一転、社会的テーマを絡めた人生劇の描き手として作品を通じ鋭い問題提起を行う、社会派少年漫画第最終巻! 小山田先生の当時の単行本コメント 『なぜ、この作品を描こうと思ったのか…、二年半描き続けて完結した今、ふり返ってみても、どうしてもそれが思い出せないでいます。たぶん、先へ先へ描くことで、毎日精一杯だったのでしょう。実際、今までで一番苦労の多い作品でした。けれど、その分、一番得たものも多い作品でした。何はともあれ、この作品が、僕は好きでした。』
島崎藤村物語

島崎藤村物語

明治14年、長野県(現在は岐阜県)の馬籠宿から兄弟と共に上京した島崎春樹は明治学院を卒業。明治女学校に英語教師の職を得ると共に女学雑誌社で詩人、北村透谷、作家、星野天地らと親交を深めながら文学の道へと足を踏み入れるが、それは決して平坦な道ではなかった。教え子への慕情と自責、世の中の混乱、愛する人との別れ。一度は悩み、全てを捨てて旅に出た春樹だったが、やがて自らの文学の道を見出し、名を藤村と変えてその道を歩み始める。「夜明け前」「千曲川旅情の歌」などの作品で知られる詩人、小説家の島崎藤村が信州、小諸に居を構える前、文学者として歩み始めた頃を描いた高木達の脚本による演劇を小諸出身の漫画家小山田いくがコミカライズ!
小山田いく まんが昔ばなし傑作集

小山田いく まんが昔ばなし傑作集

日本の各地に古くから伝わる昔話。それらはあるものは面白おかしく、あるものは教訓的な内容をもって今の世に至るまで長く語り継がれて来た。しかし、これらの昔話のルーツをたどってゆくと、その先に見えてくるのは実は人間の情念に彩られた生々しく、そして禍々しい物語なのかもしれない。鶴の舞う村である日突然老夫婦の前に現れた美しい女性…「鶴の恩返し」、藪の中で旅の夫婦に起きた惨事が意外な者の口から語られてゆく「藪の中」、若返りの水を探して一人で山に入った妻を探しに行った夫が見た物は…?「若返りの水」など5作品を収録。「すくらっぷ・ブック」などで若者のみずみずしい青春を、また「風の宿」などで情緒あふれる大人の物語を綴って来た小山田いくが心機一転、新しい切り口で描いてゆく新シリーズ第1巻!
Queen Bee

Queen Bee

花邑姫蜜(はなむら ひみつ)は12歳。蜂と心を通わす事の出来る不思議な女の子。これはそんな姫蜜と、転地養蜂で日本各地を巡る九州は熊本の養蜂一家の物語だ。転地養蜂とは春真っ先に花の咲き始める九州や四国から花を追って日本列島を北上し、ミツバチを育てながらハチミツを採る仕事。今年は春から中学生になる姫蜜を家に残して熊本を発った花邑たち一行だったが、そんな彼らの元に姫蜜が蜂たちをおって家出をしたとの一報が入るところから物語は始まる。やがて花邑たち一行と合流し旅を始める姫蜜。春から夏、そして秋、冬と季節が移り行く中で彼女は旅を続け、時には人と出合い、時には自然の驚異に直面し、時にはその脅威と真っ向から戦いながら蜂たちと寄り添い日々を過ごしてゆく...。日本の四季の中で自然と寄り添いながら生きてゆく養蜂家の生活、そして蜂たちの生態を小山田いく先生が緻密に調べ上げ、丁寧に描き上げた逸品を是非とも味わってみてください。その他、占いを通じ人々に幸せを示すと言われる「吉祥師」が日本屈指の財閥、真田グループの後継者争いに絡む連続殺人事件をその占いと鋭い推理で解決してゆく「吉祥師京太郎の推理」。この恋は本当自分が望んでいた物なのか...今まで単行本化されていなかった幻の作品、恋に悩む高校生の姿を淡々と描いた「ダスト、ジャケット」を収録。小山田いく先生の当時の単行本コメント「昆虫は人間とは全く別の進化の道をたどり、むしろ人間より地球に適応して繁栄している生き物なんだそうです。小さな頃から不思議な連中だとは思っていましたが、やっぱりすごいやつらです。」
くすのき亭の日々

くすのき亭の日々

一昨年母親が急逝してから父と一緒に大衆食堂「くすのき亭」を切り盛りする楠了子(くすのきりょうこ)。以前は色々夢もあったような気もするが、今は淡々と店の仕事をこなす毎日… そんな毎日の筈なのだが、彼女の周りにはいつも不思議な出来事がついて回るのだった。ある日、閉店直後に電話が鳴り、了子が受けるとそれはラーメンの注文だった。自分で調理し出前に行った了子だったが、電話をしてきた女性はこの世の者では無かった。そしてその日から了子の元には閉店後のラーメンの注文が入るようになる。了子は何者かに憑かれたように夜の出前を繰り返すが…。 その他、表題作品「くすのき亭の日々」の他、とあるレストランのオーナーが突然家に友人の娘を住まわせたことからそのオーナーと息子の間に起きる出来事を描いた「すぺしゃる料理人」、昔一緒に遊んだ男の子の面影を追って信州、小諸を訪れた女性の一日をほのぼのと綴る「約束」を掲載。小山田いくが大衆食堂「くすのき亭」の日常にからめて、人間の機微を丁寧に描く珠玉のホラーストーリーの決定版!
五百羅漢

五百羅漢

2006年5月に「五百羅漢」のタイトルで発表されていた小山田いく短編集を今回は3冊に分けて配信。第1巻は表題作品「五百羅漢」の他短編4作品を収録しました。 「五百羅漢」…雑誌「野仏」の専属ライターとして石仏を取材して歩く数巳(かずみ)と恋人の美津子(みつこ)は2人で美津子の実家を訪れる。それは村にある五百羅漢を訪れるためだったが、村ではこの場所は立ち入り禁止という暗黙の了解があった。五百羅漢を訪れてからいつもと違う暗い雰囲気を漂わす美津子と数巳を見て亡き従弟、純生(すみお)の名前を呼ぶ美津子の兄に違和感を覚える数巳。やがて数巳は美津子に隠された秘密を知る事となるが、その時彼を不可解な現象が襲う…。その他、訪れる人もいない山荘を守り続ける老人とそこを訪れた一人の女性。老人はやがて女性に山を愛し、山を描き続けた一人の男について語り始める…「山荘夜話」、薄幸の少女、災子は交通事故で命を落とすがひょんな事から妖怪「猫又」になり?!の「災子、猫又ね!」、とある中学校の庭にある卒業記念の桜とそれを守り続ける教師、朝森(あさもり)。植物を愛する少女、春水(はるみ)は朝森との触れ合いを通してその桜に寄せた人々の想いを知る…「記念樹」、あとわずかで定年を迎える刑事、岩佐の元に配属されてきた新人刑事、栗林奈美。彼女は岩佐が心残りという事件を再捜査するよう、彼に力をかすが、その裏には彼女の隠された秘密があった…「風舞人」。 今回の配信にあたり、特別に録り下ろした『すくらっぷ・ブック』の登場人物・桜井光代のモデル・光代さんのインタビューを掲載しています。
魑魅

魑魅

河童、猫又、人魚など、世の中には昔から正体のわからない生き物が語り継がれて来た。そしてそれらは今も存在する…。私立十種高校には部員がたった二人しかいない生物部があり、その部室の地下には数多くの正体不明の標本が安置されていた…。ある日、この生物部の二人、東森 覚(ひがしもり さとる)と専女 摩未 (とうめ まみ)のもとに2年生の白河啓子(しらかわ けいこ) が猫の死体を抱いて現れた。目の前で車に轢かれて死んだその猫をせめて綺麗な姿で葬りたい、という彼女の願いを受け遺体の修復を引き受けた東森は、その修復の際に地下にあった猫又の手と言われる標本を欠損部の修復に使用した。そして…翌日に彼女は姿を消し、彼女の周りの生徒が次々に事故に遭い始める。果たしてこれは猫又の呪いなのか?! その他、東森が部室に保管してある河童のミイラを返せと必死の形相で部室を訪れた女。その女と河童のミイラの意外な正体は…「河童の巻」、人の怨念が腫瘍になって現れると言われる人面疽。その標本が生物部室から盗まれた。その盗難直前に生物部室を訪れていた少女は夜道でその標本を顔に投げつけられ、やがて少女の顔には不気味な腫れ物が…「人面疽の巻」、生物部室に置かれた哺乳類の内蔵の標本とその中から出てきた人の目玉。調査の先に見えてきたのは人と動物の絆の物語だった…「名のない内蔵の巻」など。古くから言い伝えられる正体不明の動物たち。それらの物語を通じて小山田いくが人の心の機微を描く、感動ホラーコミックの決定版!
合歓リポート

合歓リポート

小春日 合歓(こはるび ねむ)は14歳、小さい頃から身体が小さく、臆病な中学生。両親は大気汚染、河川の汚染などの問題が「公害」と呼ばれた時代に育ったが、彼女にとってはそれは既に昔の事、いや、昔の事の筈だった。小学5年生の時、合歓の友達、省二(しょうじ)が新しくできた道路の脇の池で酸を被ったような状態で亡くなっているのが発見された。それから3年が経ち、合歓は今も現場に建つ地蔵に花を手向けるが、当時一緒にいた本田、千香の二人は目の前の事だけに夢中な毎日だ。そんなある日、地蔵に花を供えに行った合歓は、地蔵の顔が醜く変わっていることに恐怖する。同じ時、合歓の前を通り過ぎた女性があの時と同じように死んだ。そして、あらためて現場を訪れた合歓、本田、千香の3人に恐怖が忍び寄る。その他、海に遊びに来た合歓といとこの早苗が、そこで村の男たちの奇妙な行動を目撃して…「死水母」(しくらげ)、肝試しでとある博覧会の跡地に来た合歓たち。そこで彼女たちが見たのは幻か、恐るべき人類の未来か…「枯れた地平を見ぬように」、誤って学校の地下室に閉じ込められた合歓たちが見た遠い日の飢餓の記憶 「フォメ(飢餓)」 など。現代の人類が抱える数々の問題を小山田いくがホラータッチで鋭く切り込む意欲作! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『あなたは何か怖いものがありますか? 幽霊…地震…暴力団…テスト…タレントAさんの顔……。何かあるでしょう? 恥ずかしいことじゃありません。怖いものを怖くなくすことで、街は進歩してきたんですから…。だから今、ほんの少し、自分のまわりを見て、怖いと思ってほしいんです。山ほどある怖いことに、気づいてほしいんです。』
アニマルDr.由乃

アニマルDr.由乃

人と心を通わせ、共に生きる動物をコンパニオンアニマルという。人と心を通わせる彼らにも魂はあり、そして魂の有るところには時として不思議な出来事が起きる…。染井由乃(そめいよしの)は黒崎動物病院に勤める新米獣医師。失敗をしながらも病院を訪れる動物たちに日々真剣に接している。ある日、白猫ルリを連れ動物病院に訪れた少年は、まるで少年の方が病気のようだった。そして…不思議な事に少年が体調を崩す前には必ずルリが体調を崩すという。そんなルリを少年は「運命を知らせる猫」と可愛がっていたが、実はルリは重篤な病気を患っていた。由乃の必死の治療に次第に回復の兆候を見せ、退院していったルリだったが、ある日突然ルリが失踪。ルリを探す由乃はやがて不思議な出来事に巻き込まれて行き…。その他、可愛がっていた子犬の突然の死をきっかけに街を徘徊する様になった老女。老女の娘は彼女に同じパビヨンの子犬を与えて落ち着かせようとするが、何故かやがて娘の方がその子犬に怯え出し…「ペットロス」、黒崎動物病院の建物では以前殺人事件が有ったという。そして、以前はこの家の令嬢に飼われていたというキバタンの「ヒメ」は、その事件にまつわる、ある夫婦の悲しい物語を全て見ていた…「語りつづけたヒメ」など。動物と人間の絆を若き獣医師の視点からオカルトタッチを交えて描く、小山田いくのハートウォーミングストーリー第1巻!
衆楽苑

衆楽苑

昭和の時代、上野駅は北の国から東京へ来る人々たちの玄関だった。多くの人々が夢を追い、この駅へ降り立った。そんな上野駅横で昭和3年に創業した大衆食堂「衆楽苑」。創業以来、たくさんの人に愛され続けているのは、和・洋・中、なんでも美味しいメニューを揃えていることもさることながら、そこに働く人の温かさにもあるようだ。今日も人々は様々な想いを胸に衆楽苑を訪れる…。夢を追い、東京へ出て来た長田と鮎川。衆楽苑で食事をした二人は景気づけにとウェイトレスのおばさんから餃子をごちそうしてもらう。2人は3年後にここで再会する事を約束し、おばさんにそれを告げてそれぞれの道を歩き始めるが…。その他、家族を嫌悪し、東京に出て一人暮らしをしていた若者が体を病んではじめて気づく母親の愛情「赤い爪」、頻繁に店を訪れ昔話をする老人。だが、彼の本当の歴史とは…「歴史」、ある石屋がテレビで紹介された事で昔の仲間から連絡を受けるが、それは終戦直後の彼の許し難い経験を思い起こさせるものだった…「雑炊」など。人々が様々な想いを胸に上野駅に降り立った昭和の時代、その上野駅横にある大衆食堂「衆楽苑」で交錯する人間模様を、小山田いくが丁寧に綴るハートウォーミングヒューマンドラマの決定版! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『東北・上信越に住む人にとって、上野駅は特別な駅です。上野駅はそれ自体が、故郷と都会をつなぐ大きな待合室なのです。故郷から都会へ、都会から故郷へ、気持ちを切り替えるための、待合室なのです。そんな、様々な心の交錯する上野駅のような食堂を、描きたいと思っています。』
きまぐれ乗車券

きまぐれ乗車券

九城;興生(くじょう おきお)、高校2年生。兄が経営する九城出版で歴史と文化の雑誌、「おのごろ」の雑用係も務めている。ある日、兄に言われて長野に取材に向かった興生だったが、切符を買おうとする興生の前に一人の女の子が急に現れ、強引に一緒に長野行きの切符を買わされる。彼女の名は江馬 環(えま たまき)。あまりに世間知らずで奔放に振る舞う環に振り回されながらも心配でつい世話を焼く興生だったが、どうも環には厄介なお家の事情があるようで、興生もいつの間にかトラブルに巻き込まれてしまう。そんな中、世間知らずながらにしがらみを振り切って一歩を踏み出そうとする環に、興生は彼女の背中を押す事を決意した。そして、そこから二人の旅が始まった…。緻密な鉄道描写も必見! 鉄道での旅を通じて興生と環、そして旅先で出会う人々との心の触れ合いを描いた小山田いくのハートフルストーリー。巻末には当時の単行本には未掲載の「興生と環の20年後」のイラスト&コメントも収録!