あらすじ

「こんな人物が、本当にいたのか」――。“銀河英雄伝説”“アルスラーン戦記”の作者が贈る、破格の冒険ロマン譚!! 舞台は中国・唐の時代。8千の唐・チベット・ネパール連合軍を率い、7万超の天竺(インド)軍を打ち破った文官がいた――その名は、王玄策!!
天竺熱風録 1巻

「こんな人物が、本当にいたのか」――。“銀河英雄伝説”“アルスラーン戦記”の作者が贈る、破格の冒険ロマン譚!! 舞台は中国・唐の時代。8千の唐・チベット・ネパール連合軍を率い、7万超の天竺(インド)軍を打ち破った文官がいた――その名は、王玄策!!

天竺熱風録 2巻

時は7世紀、天竺を舞台に、大軍勢を率いて戦争に勝った唐の“文官”がいた――!! その名は、王玄策!!「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」の作者原作による、圧倒的画力で紡がれる歴史大河ロマン第2巻!!

天竺熱風録 3巻

舞台は、天竺からネパールへ──! 捕らわれた仲間を救う為、王玄策は援軍を求めネパールへと向かう。残された期限は1か月。王玄策の外交手腕が問われる展開は、果たしてどうなる!? 「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」の作者原作による、圧倒的画力で紡がれる歴史大河ロマン第3巻!!

天竺熱風録 4巻

ネパール・チベットの援軍を率い、王玄策は仲間の待つ天竺へと向かう。そこで待ち受けていたのは、数倍の戦力を誇るアルジュナ軍! 果たして、勝機はあるのか――!? 「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」の作者原作による、圧倒的画力で紡がれる歴史大河ロマン第4巻!!

天竺熱風録 5巻

捕らわれた仲間を取り戻すため、アルジュナ軍との戦いが遂に始まった。異形の将軍・ヴァンダカ率いる敵の軍勢は、およそ三万。対する玄策ら連合軍の兵力は、八千。圧倒的な戦力差を前に、どう勝機を掴むのか――。「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」の作者原作による、圧倒的画力で紡がれる歴史大河ロマン第5巻!!

天竺熱風録 6巻

マガダ国王・アルジュナを捕らえたことで戦いの終結を宣言する玄策。しかしそこに突如現れたカーマルーパ国王・クマーラから、「マガダ国を全て奪っちまえ」と告げられ…? クマーラとの命を賭けた交渉で、玄策は文官としての本領を発揮する! そして、一行はついに長安へと帰還し――。圧倒的スケールで送る歴史大河ロマン、堂々完結!!

天竺熱風録

天竺を救った外交官、王玄策という男のロマン

天竺熱風録 田中芳樹 伊藤勢
ANAGUMA
ANAGUMA

中国史に詳しい方なら王玄策という人物をご存知なのでしょうか。 一行でまとめるなら彼は「出先のインドで投獄されたから脱獄して内戦に介入し、解決に導いた一介の外交官」といえます。「そんなマンガみたいなやつがマジでいたのか?」と思って読むわけですが、どうやら居たようです。完全に居た。『天竺熱風録』を読めば分かる。 より興味を持っていただくためにもう少し王玄策のことを紹介しましょう。 7世紀・唐の時代、玄奘三蔵法師とほぼ同時代の人物だといったらわかりやすいはず。王玄策も三蔵法師と同じく、天竺(インド)の地を踏んだ人物です。もっとも彼は僧侶ではなく修好使節団のリーダー、すなわち外交官でした。 本作で描かれるのは王玄策の二度目の天竺行で、これがなんとも波乱に満ちた旅となります。 やっと辿り着いたインドは交流のあったハルシャ王が死去しており、得体のしれない集団が王権を握っている状態。玄策は簒奪王アルジュナに仲間を殺されたうえ、使節団まるごと投獄されてしまいます。 極限状況で彼が導き出したプランは、 ①脱獄して隣国ネパールに向かう ②ネパール王に助力嘆願して兵力を借りる ③友軍とともに天竺の首都カナウジに舞い戻る ④アルジュナをボコる ⑤仲間を救う。HAPPY!! という大胆不敵なものでした。詳しく書くほどに「マンガか?」となるわけですがどうやら歴史上の人物らしい。 彼がどう決断し、次に何を見せてくれるのか「一体どうしてこんなことが出来ちゃったんだ?」と結果がわかっていても常にワクワクドキドキです。伊藤勢先生が「外交山師」と評するとおり、武力に頼るのは必要最小限、血を流さず知恵によって状況を打開しようとするスタンスも魅力的なんですよね。 そして賢い彼を取り巻くキャラクターも全員キレ者揃いでとにかく話が早い。頭のいいキャラクター同士が会話しているときの気持ちよさがずっと続きます。 特にネパール軍のラトナ将軍が超イカす!気がつけば彼女の麾下の兵士と声を揃えて将軍を全力で推していることでしょう。 当時の軍事状況や地政学的な知識に裏付けされた描写も圧巻で「7世紀のインドってこんな雰囲気だったんだろうな」という説得力が半端じゃありません。インドを旅したこともあるという伊藤先生のあとがきは本編を読み解くうえで最高のコラムです。 一方でマンガ的なケレン味もバッチリ備わっていて、具体的には怒りのデスロードを爆走しているかのような象戦車とかが出てきます。歴史の知識がしっかりあるから遊び心も映えるんだなぁ。 「原作を読んだときにぱっと絵が浮かんだ」と語られるラストカット、これがまた最高にシビれるのでぜひ最後まで読んでいただきたい次第…インドの風を感じながら、ロマンあふれる男の生き様をド級のエンターテインメントとともに味わえる快作です。