あらすじワールドカップ出場のためにはもう負けられない。アジア1次予選Fグループ、日本は暫定1位の座をかけ、強豪UAEと対戦する。日本は再三のチャンスを活かせず、天才GKラビンの厚い壁をなかなか崩せない。リズムが狂い、精彩を欠く北村に富永の檄が飛ぶ。そして、いら立つ鷹はゴール前でハンドを犯し、痛恨のレッドカードを受けてしまう。絶体絶命のPKで、富永が1人、気を吐く! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!
自分は2006年のドイツワールドカップ辺りからなんとなくサッカー観戦を続けていて、「日本代表が出場していないワールドカップ」を経験したことがない世代だ。なので、この作品で描かれるようなJリーグ開幕当時(1993年ごろ)の「ワールドカップなんて夢のまた夢」というような空気感が正直ピンとこないというか、本当にそんな感じだったのかな?と思うことがままある。 あったわけだが、「前作ではワールドカップを目指すなんてキャラクターに言わせることは出来なかった」という1巻の作者あとがきを読んで当時の雰囲気をズシンと感じた。 まだ読み始めたばかりで偉そうなことを言うのもあれだが、「今となっては」というのは未来からの視点であって、30年後にどうなるかなんて誰にもわからない状況(当たり前だが)で描かれたのが本作というところに重みがある。 自分が当時の空気感にピンときていなかったのは、裏を返せばこの30年間で日本のサッカーが「ワールドカップなんて夢」から「ワールドカップは出れて当然(そこで勝てるかどうか)」に急激に成長したことの証明でもあり、それはまさにドリームなんじゃないかなと、読み終わる前からすでに感動し始めている…というようなことをメモっておきたくて書きました。