遊戯王以外に読むべきカードゲームマンガ3選+1
カードの王様』。 https://manba.co.jp/boards/26804 魔法のカードで戦うとかではなく、少女マンガで純粋にトレーディングカードゲームがテーマなのがまず珍しいし、主人公が女の子で恋愛がしっかり絡んでくるのも新鮮な衝撃がありました。 自分は寡聞にして本作以外に少女マンガでTCGを扱った作品を他に知らないので、どなたかご存知だったら教えてほしいです。 さて、作中ゲームの「CHAOS」のルールや本作の勘所については以下のクチコミに詳しく書きました。こちらも読んでみていただけると嬉しいです。審判必須のカードゲームモノってレアですよね。 https://manba.co.jp/topics/27187 試みとして、カードゲームとそのマンガにまつわる時系列を少し整理してみましょう。 世界初のトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(MTG)」が日本で広まるのは1994年から95年(初となる日本語版の発売)がひとつの契機とされています。 『遊戯王』の作品内に「マジック&ウィザーズ(M&W)」が初登場したのは1997年で、98年にはそれをメインテーマとした王国編が始動しています。一方で、カードの王様の1巻刊行は1999年。 まさに「トレーディングカードゲーム」という概念が生まれ、育ち始めた頃にほぼ並行して描かれたのが『遊戯王』と『カードの王様』だったのです。 『カードの王様』で描かれる「CHAOS」の特徴としてあげられるのが、対戦相手との対話を通じてゲームが進行することです。カードに書かれた情報をルールに則って処理する一般的なTCGというより、むしろゲームマスターとプレイヤー同士のコミュニケーションを重んじる「テーブル・トーク・ロールプレイング・ゲーム(TRPG)」に形式が近いとも言えます。 TRPGとMTG/TCGの歴史に踏み込むことはここではやめておきますが、実は遊戯王で描かれるM&Wにも当初はTRPG的な要素が多分に含まれていました。遊戯の召喚した岩石の巨兵がフィールドに存在する月を破壊したりしていたのは有名な話です。 TCGブームの萌芽の時期に描かれた2作品においてTRPG的な要素がフォーカスされていたのは、マンガというキャラクターの対話描写を重んじるメディアで、先駆的なジャンルに挑んだことの一種の必然だったのかもしれませんね。 今やカードゲームという文化の中心にどっしりと座を構える『遊戯王』(まさに王です)。実はその歴史の裏側に、「もうひとりの王」として存在していたのが『カードの王様』…なのではないでしょうか。うまいこと言いたすぎでしょうか。しかしそれくらいよくできている作品なのでもっと読まれてほしい次第です。特に遊戯王ファンのひとに。
遊戯王以外に読むべきカードゲームマンガ3選+1
カードの王様』でカードゲームに恋愛が絡むのが斬新!と言ったばかりですがいきなりもう一作品、カードゲームに恋愛がガッツリ絡んでくる作品を紹介します。(『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』も面白いけど今回はそれじゃないよ) 『Wizard’s Soul』です。 https://manba.co.jp/boards/12901 「恋の聖戦(ジハード)」という物騒なサブタイトルからも分かるように本作のテーマは恋模様です。 カードゲーム「Wizard’s Soul」の腕前が社会的な地位を決める世界。主人公まなかは父親がレアカード詐欺に遭って抱えてしまった借金を返済するため、封印していたカードゲームの腕前を解放し、家族を救うことを決意しますが、そこには恋する相手瑛太との衝突が避けられず…と「カードゲームアニメによくあること」と「それに似つかわしくない重苦しい設定」と「少女マンガ的なラブストーリー」が超融合している作品です。 なかでもパーミッションデッキ(※相手の行動を打ち消したり妨害してコントロールすることが主眼のデッキ)を使うまなかのプレースタイルはおよそ主人公らしくないのが新鮮で、カードバトルものでは定番の「闇落ちしたキャラがカードゲームの楽しさに向き合うパート」もしっかり用意されてあり、読み応えは屈指と言えるでしょう。 『カードの王様』の立野先生は「バトル部分はファンタジーとして描いていた」と語る一方、本作の秋★枝先生はゴリゴリの「MTG」プレイヤー。カードゲームにのめり込んでいる人ほど実感や親しみが湧く展開が盛りだくさんだし、親しくない人は「こんな世界があるんだ!」という面白さが味わえるはず。 作者のTCGに対する造詣の深さゆえか、敢えて明確にゲームルールを設定し切らずとも「カードゲームっぽさとその界隈の雰囲気」を描くことに成功しているのがスゴいです。カードゲームもので尺を取られがちなゲーム描写を適切にコントロールしつつキャラクターの恋愛模様に注力するというアプローチ、ここも『カードの王様』と読み比べると興味深いかと。
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