あらすじ全裸に手錠で山奥に放置された作家……犯人が与えたさらなる試練、それは!?――犯人のメッセージを頼りに、必要なアイテムを得ようと四苦八苦する左々暗(ササクラ)。その目の前に現れた腐臭ただようワゴン車の中には……。そんな左々暗の身を案じつつ、実行犯・十坂(とさか)に迫る刑事・加古川(かこがわ)だったが、事件の陰の中心人物・橘愛友里(たちばな・あゆり)は新たな動きを見せていた。過去の闇が明らかになる中、愛友里が望んでいる結末とは……。
見立て殺人と言われるような神話や物語をなぞる形で行われる連続殺人、サスペンスやミステリーでは定番のネタです。 本作はそこから一歩進み、定期的に槍玉に上がる「ゲーム・アニメ・マンガを嗜んでると現実と区別がつかなくなって罪を犯す」的な議論がテーマのひとつになっています。 自身の創作物が人を傷つけることに繋がってしまうのか、創作物が殺意を喚起することはあるのか、その時作者に罪はあるのか…。 創作論を問いながら事件の犯人と謎を追うミステリーが展開していきます。 抽象的なテーマと断定しきらないキャラが多いのでわかりづらいところもありますが、軽妙な語り口で切れ味鋭いセリフが飛び出してくる時はゾワッとします。常に緊迫感が漂っているタイプの作品でした。 小説、漫画、映画とか物語を作る人に読んでみてほしいですね。メタ的な要素が楽しめるはず…。