あらすじ

みどりは日本で暮らし始めてからも、満州で生死が分からなくなったサーシャへの想いが忘れられないでいた。しかし、サーシャの思い出ごと自分を愛すると言う樹一郎の言葉に、みどりは結婚を決意する。結婚式当日、海軍中尉の樹一郎に友人として紹介されたのは何とあのサーシャだった!サーシャがみどりの初恋の相手と知った樹一郎はみどりが幸せになるならと身を引こうとするが…!?
あすなろ坂 1巻

会津藩武家の娘、芙美は有馬家へ嫁ぐことになった。それまで馬に剣にと天衣無縫に育ってきた芙美だったが、式の直前に、兄弟のように育った新吾への恋心に気付く…このまま、会ったこともない有馬武史のもとへ嫁ぐべきなのか、しかし、武家の娘として、一度決まったことを白紙に戻すためには死を覚悟で決断しなければならない…世は幕末、激しく揺れ動く時代から始まる壮大な大河ロマン!

あすなろ坂 2巻

芙美が産んだ新吾の子供は新之介と名付けられ、武史にも愛されすくすくと育っていた。しかし、いつまでも新吾に想いを残す芙美に耐えられなかった武史は女中の妙と一時の関係を持ってしまう…新吾と再会し、自分は夫である武史を愛しているとやっと気付いた芙美。幸せな日々が続くかに思えたが、妙が武史の子を身ごもっていることが分かって…!

あすなろ坂 3巻

芙美と武史は苦難を乗り越え、幸福な毎日を過ごしていた。妙が産んだ子供は史織と名付けられ、有馬家の長女として愛されて成長していた。一方、新之介は想いを寄せたおきくが死んでからというものふさぎ込んでいた。史織は密かに兄である新之介に想いを寄せていたが、病に倒れた父を安心させようと光太郎との縁談を決意する…

あすなろ坂 4巻

縁談を白紙に戻した後、史織は看護婦になるための勉強をはじめた。一緒に働く医師の晶平のことを、いつの間にか意識していた史織だったが、光太郎とのことで自分の気持ちを素直になるのが史織は怖かった…一方、珠絵と結婚した新之介は小学校の教師として働いていた。新之介の教えるクラスには新吾の娘、ふみが通っていた。

あすなろ坂 5巻

障害事件から8年の月日が経ち、史織と晶平はやっとに再会することが出来た。長い間離れ離れで想いを寄せ合った二人だったが、史織はまだ忌まわしい事件の事が忘れられないでいた…新之介と珠絵は3人の子供たちに恵まれ、幸せに暮らしていた。父に似てやさしい長男の武雄、活発な長女・詩絵、そしてひかえめな次女・忍。遊んでいた3人に突然不幸な事故が…!?

あすなろ坂 6巻

詩絵は女優としての道を進み始めた。亡き兄・武雄に似た脚本家・秋月と詩絵はいつしか愛し合い、二人で演劇をやっていこうと気持ちを確かめ合う。姉と同じように、秋月に想いを寄せていた忍は二人の仲を応援していこうと誓う。一方、二人の父・新之介は奉天の日本人学校の校長になるため、一人旅立っていった…

あすなろ坂 7巻

女優としての地位を確立した詩絵は秋月と別れ、源宗匠と結婚し、彼を心から愛し始めていた。忍は姉のために忘れようとしていた秋月と一緒になり、幸せに暮らし始める。しかし、秋月は政府の方針に反する脚本を書き続け、反体制運動に参加し、警察に追われる身となっていく。一人ロシアに立とうとした秋月だったが、忍は詩絵の力も借りて、秋月の船に乗り込むのだった…

あすなろ坂 8巻

遠い満州で忍と秋月は短い生涯を終えた。残された二人の娘・みどりはロシア人のサーシャと共に孤児として生きていた。二人が身を寄せていた家のおかみさんが死に、同じく孤児となった娘・さくらと共に、幼い3人は働きながら生活していた。一方、忍の子供が生きているということを知り、新之介と珠絵は自分たちの孫の行方を探していた。

あすなろ坂 9巻

みどりは日本で暮らし始めてからも、満州で生死が分からなくなったサーシャへの想いが忘れられないでいた。しかし、サーシャの思い出ごと自分を愛すると言う樹一郎の言葉に、みどりは結婚を決意する。結婚式当日、海軍中尉の樹一郎に友人として紹介されたのは何とあのサーシャだった!サーシャがみどりの初恋の相手と知った樹一郎はみどりが幸せになるならと身を引こうとするが…!?

あすなろ坂

「あすなろ坂」読んでみた

あすなろ坂 里中満智子
かしこ
かしこ

幕末から終戦までを描いた作品です。初代主人公もお婆ちゃんになるまで激動の時代をかけ抜けますが、物語の主役は各時代ごとに子供から孫そしてひ孫へと受け継がれていきます。 幕末編。主人公は会津藩でも指折りの名家へ嫁ぎますが、その後に幼馴染への恋心を自覚して妊娠してしまいます。しかし旦那さんが自分の子供として育てると受け入れてくれます。なかなかセンセーショナルな始まりです。ここから更に紆余曲折ありますが、幕末編の主人公の相手を思いやるピュアな夫婦愛には胸を打たれます! 明治編。出生の秘密を息子と娘は知りません。娘とお嫁さんが看護師や小説家になって女性の自立が描かれるようになり主役も変わっていきます。ただ幕末編の主人公もまだまだ若くて元気なのでそちらの生き様も目が離せません。 大正編。明治編の息子の子供達が主役になります。女優の夢を叶えて仕事に邁進する姉、思想家の夫と満州へ渡った家庭的な妹。まるで対照的な生き方がどちらも過酷な人生でした。関東大震災が起きて人々が混乱していく様子も描かれていたのが印象に残りました。 昭和編。満州に渡った妹夫婦の娘が主役です。訳あって孤児として育てられ勘違いから養女として主人公一家に迎えられることになります。大人になった娘は軍人と結婚しますが初恋の相手であるロシア人と三角関係になったり、時代も恋も怒涛の展開です。幕末編の主人公が大往生して走馬灯が流れるシーンは4代続いた物語の大団円に相応しかったです。 後書きに「10代の頃から男性の周りにいた女性達は戦争を止められなかったのかと考えていた」とあり、それが全編を通して真のある女性が描かれた理由になったんだなと思いました。また同じ女性でも仕事に生きがいを見出したり、命がけで家庭を守ったり、それぞれ違って多様性があるのがいいですよね。少女漫画だからどの女性も恋に対して一生懸命になってるけど、大事なのは精神的な自立なんだと学びました。もっと早く中学生くらいの頃に読んでたら人生も変わってたかもしれません!