労働系女子マンガ論! 第5回 『娚の一生』西炯子〜超エリートの女・堂薗つぐみはいかにして「娚(おとこ)」となりしか(後編) | タバブックス
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「現実にもありそうな関係性」など、思い切り無視して、フィクションだからこそ可能な、最高の落とし前をつけてくれた瞬間、胸にこみ上げてくるのは「ここまで読んできて良かった!」というランナーズ・ハイ状態。「現実にもありそうな関係性」に回収されていれば、こうした恍惚の瞬間はきっと訪れていないでしょう。 「娚」という字の示す通り、ふたりは「ふたりして ひとり」であり、寄り添ってはいても別々の存在なのです。そして、「愛し合うことは「ふたりがひとつになる」ことだ」などという手垢にまみれた言葉を蹴散らし、ずんずん前進していく彼らの生きざまは、「ひとり」であることの孤独と引き替えに、女が当たり前のように働いて生きていくことを、強く強く後押ししてくれるのではないでしょうか。