あらすじ銀子が東京にやってきた。持ち前の才能でゲイ・バーに勤め出した銀子。念願かなってプロのイラストレーターとなったものの、まだ、何をどう描いていいのかわからない金太。迷いとあせり、そして将来への不安――。恋人・今日子との決別、幼なじみ・銀子との別れ。独りぼっちで自らの道を歩み始める金太の眼に遠く幼い日の風景が涙ににじむ。感動の終章!
上村一夫の半生がモデルになっている自伝的な戦後史。艶やかなタッチや仄暗い鬱屈さというのは健在だが、同時に激動の時代にまだ姿のはっきりしない希望を追いかけたパワーのようなものも感じるので、読後感は悪くない。 物語は小学生から、青年期までが描かれている。 幼少期は、戦後半ば狂った大人たちに、純粋な子供(金太と銀子)の夢が儚く裏切られてしまう様子が情緒的に描かれている。金太が母の影を求めて、蛇女のところへいく話はやるせない悲しみのようなものを感じた。夕日に照らされているところは特に印象的。 戦後は金太が何者かになろうともがく姿が色々な人たちを通して描かれる。これは現代にも通じるテーマであると思うが、銀子との対比でそれがより鮮明に描かれていると思う。育ての親でもあり師匠的な存在でもある柳川大雲が終盤になるにつれて老成した魅力を持ってきて、この漫画を好きになった大きな要因でもある。 とても面白いので読んでほしい漫画