あらすじ人造湖・赤沢堤に、正治(まさはる)と一緒に野鯉釣りに行った三平三平(みひら・さんぺい)の竿に、謎の大物がヒットする。もう一歩のところで、その大物をバラしてしまった三平が目にしたのは、背中に光るノコギリ状のウロコ!目撃者の証言では、サメのような尾ひれがあり、とがった口にはヒゲが生えていると言う。想像を絶する怪魚との壮絶バトルが始まった!!
2010年、絶滅したとされていた「クニマス」の生存が確認されました。こんなこともあるのだな、とびっくりしましたね。レッドデータに載った魚類の再発見、ということもありますが、しかしそれよりも、発見の一連の流れがまるでこの作品をなぞったような出来事だったからです。第一巻の作中で、絶滅したクニマスのことを知った三平は田沢湖を訪れます。そこで絶滅に至った経緯や、作品の副題に付いているキノシリマスという別名の由来などを聞くうちにあることを思い出す、となっています。もちろん絶滅の経緯などはニュースで見たことと一緒。さらになぜ離れた場所に生存していたか、ということについても誰かが卵を放流した、で事実と一致しているのです。作品で放流したのは死んだ一平じいちゃんでした。遺言めいた内容なためドラマチックかつロマンに溢れた仕上がりになっています。しかし現実はロマンもへったくれもなくて、そんなクニマスを今のうちに釣ろうとする輩がいるとか。そんな人にはこの作品をよく読めと言いたいです。