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昭和17(1942)年。戦火は中国大陸から米国をも巻き込み、日本がいよいよ世界を相手に泥沼の戦争へと突入していった時代――横浜では「モロッコの辰」こと出口辰夫(でぐち・たつお)が、ナンバーワンの愚連隊としてその名を轟かせていた。その勇名に反して意外なほど小柄な体格の辰夫だったが、度胸のよさと腕っぷしの強さ、そして仲間思いの熱い男気と明晰な頭脳で、愚連隊の枠に納まらないド派手な活躍を繰り広げ、多くの人望を集めていく。そんなあるとき、湯河原の賭場荒らしに乗り込んだ辰夫を運命的な出会いが待ち受けていた。その賭場を預かっていた男こそ、後の稲村会総裁・稲村修三(いなむら・しゅうぞう)。そのただならぬ威圧感と人としての器の大きさにふれ感銘を受けた辰夫は、稲村の盃をもらう決心をする。こうして、ハマの愚連隊から伝説の稲村会四天王へ――…モロッコの辰の波乱の人生は新章へと歩を進めていくのだった! 男たちの熱い友情とプライド、そして迫力のバイオレンスが炸裂する、実録ピカレスク・ドラマの決定版!!