あらすじ

レストランで下働きをしていた風吹涼二は、料理評論家の鰐口が料理長も知らない『伊勢海老のソース・タンベット』を注文したとき、代わってその料理を作り上げる。弱冠22歳でメール・ド・パリの総料理長になった天才コック、風吹高志が彼の兄だったからだ。その高志が事故死して、彼の遺した海猫亭を涼二が引き継ぐことになった。未亡人になった羽純と、セカンドの鱒田、見習いの鳥塚、給仕兼マネージャーの江波がスタッフ。高価な食材ではなく、地元の旬の物を使って、日本でしか食べられない日本のフランス料理を、安価で提供する高志のポリシーを受け継いだ涼二は、義姉の羽純に想いを寄せつつ、心を癒す料理造りに励むのだった。
海猫亭へようこそ 1巻

レストランで下働きをしていた風吹涼二は、料理評論家の鰐口が料理長も知らない『伊勢海老のソース・タンベット』を注文したとき、代わってその料理を作り上げる。弱冠22歳でメール・ド・パリの総料理長になった天才コック、風吹高志が彼の兄だったからだ。その高志が事故死して、彼の遺した海猫亭を涼二が引き継ぐことになった。未亡人になった羽純と、セカンドの鱒田、見習いの鳥塚、給仕兼マネージャーの江波がスタッフ。高価な食材ではなく、地元の旬の物を使って、日本でしか食べられない日本のフランス料理を、安価で提供する高志のポリシーを受け継いだ涼二は、義姉の羽純に想いを寄せつつ、心を癒す料理造りに励むのだった。

海猫亭へようこそ 2巻

昔アルコール中毒だった江波に、ぶり返した禁断症状。帝都ホテルの総料理長・鷹村が、涼二をスカウトに? 漁師の源太の妹・鮎美が、鳥塚と付き合い始めた矢先、ヤクザに強姦された。小料理屋の志乃や板前の渡瀬に、嫌がらせをする狸穴和尚。涼二の父・蕩次郎の恋敵だった貝塚が、涼二の母を訪ねてきた。彼の口から、蕩次郎の死が告げられる。繁華街に繰り出した源太は、ソープで付いたるいに惚れ込んでしまった。そのるいが肌身離さず身に着けているペンダントには、蕩次郎の写真が…。目まぐるしく展開する人間模様に、涼二の料理が冴える!

海猫亭へようこそ 3巻

夏休みに入り、海猫島に恋人に裏切られた沙織や、離婚を間近に控えた一家、自殺志願の高校生カップルが来る。そんな人々の心を和ませる海猫亭の料理…。皆それぞれに新しい道を見つけて、笑顔で帰っていった。そんな中、息子の陽平と約束し、トライアスロン大会優勝を目指していた鱒田が倒れる。代わりに羽純が呼び寄せたコック・鮫島は、かつて高志の恋敵だった。腕はいいが、涼二の言うことを聞こうとしない。そこへ帝国ホテル総料理長の鷹村がやって来て、涼二と鮫島は料理勝負をすることになった。

海猫亭へようこそ 4巻

鷹村は涼二の料理に軍配を上げた。打ちのめされた鮫島は、自棄になって羽純を襲い、涼二にぶちのめされる。その後すっかり素直になった鮫島を、涼二が鷹村に推薦し、鮫島は帝国ホテルに迎えられた。海猫亭にテレビの取材が入るが、店を無視した横暴な演出に涼二と羽純が怒り、取材陣を帰してしまう。仕事で付いてきていた元アイドルの美沢凪子も、番組に疑問を感じて降りた。再び海猫島にやって来た凪子は、一世を風靡した演歌の作詞家、円城寺哲と会う。自分の歌を作詞して欲しいと頼むのだったが…。

海猫亭へようこそ 5巻

もう引退して意固地になっている円城寺は、凪子の依頼を断るが島を去った円城寺の部屋に凪子のための歌詞が残されていた。海猫島に、若くてやる気満々の医師・森口がやって来る。島の医師・鴨下に、医は人術だと教わるのだった。癌の末期になっている元町長の村川のために、特別料理を作る涼二。森口は怒るが、村川はそれを自分ではなく、美味しいものに飢えている他の患者たちに食べさせるのだった。往診に行く途中で事故にあった森口は、凍死しそうになって助かった時、真の医療を悟る。江波が好意を持った中学校の美術教師・末永時枝は、島にやって来た画家・ヒロ丘田と顔を会わせて衝撃を受けた。二人の関係は?

海猫亭へようこそ 6巻

時枝に告白する江波。しかし時枝は、そういう気持ちになれないと断る。時枝は美大の留学でパリにいた時、ヒロ丘田の生徒であり、同じ生徒のミッシェルと恋人だった。その彼がヒロとホモ仲だったことを時枝に知られ、苦しんだ挙句に自殺している。なおもヒロは、未完だったミッシェルの絵を加筆して、自分の作品として発表していた。海猫島に二人の刑事がやって来た。爆破事件を起こした過激派メンバーの猪瀬を追っている。内海工務店で真面目に潜水員として働いている鈴木がそうなのか?村川が死に、元プロ・ボクサーで刑務所から出所したばかりの譲太郎が島に帰ってきた。譲太郎の別れた妻・ヨーコに想いを寄せる森口。

海猫亭へようこそ 7巻

森口の気持ちが本物だと知って身を引き、島を出て行く譲太郎。もうボケの入っている映写係の映造が、小火騒ぎを起こした。娘婿の八代議員は映造を施設に入れ、映画館を取り壊すつもりでいる。しかし映画への情熱を忘れない映造を、元女優の克江が引き取らせてくれと申し出た。土下座して感謝する八代。涼二の祖母・ハナの言葉が胸を打つ。『子供しかるな、来た道だから。年寄り笑うな、行く道だから』島にお見合いツアーがやって来た。めでたく二組のカップルが誕生する。鮫島を連れてやって来た鷹村が、パリに出すレストランの菓子職人に、鳥塚をスカウトしたいと申し出た。

海猫亭へようこそ 8巻

やって来た両親にもデザートを作って、菓子職人になる許可を貰った鳥塚は、鮎美に待っていてもらう証として婚約指輪を手渡し、一夜をともにしてからパリに旅立っていった。鳥塚の代わりに来た見習いは、総合商社の社長の息子・二階堂オサムである。ちゃらんぽらんに見えるが、料理のセンスは確か。オサムの兄・悟が会社にオサムが戻らないよう金を出して置いてやってくれと頼むが、涼二は金を受け取らず、店に寄ってくれとだけ告げる。円城寺の詩で歌手としてカムバックを果たした凪子の元マネージャー・加賀が、ヤクザがらみの芸能プロダクションから金を持ち逃げした。警察とヤクザ双方に追われる加賀は、凪子を頼って…。

海猫亭へようこそ 9巻

加賀を追うヤクザの蛭沼に、譲太郎がついて来ていた。涼二と羽純をコンサートに招待した凪子は、円城寺に逢いに海猫島に渡る。途中の列車で加賀に会うが、凪子は金を渡して二度と私の前に現れるなと釘を刺した。ラーメン屋の下働きをしている円城寺は、余命半年の身。見つかった加賀を庇った涼二が蛭沼に刺されようとした時、割って入って傷を負った。譲太郎は蛭沼をぶちのめし、警察に加賀と蛭沼は捕らえられる。料理評論家の鰐口の娘・薫子がやって来て、丁度酒造をやっている実家の父が倒れた羽純に代わって、店を手伝うことになった。羽純に想いを抱く杜氏の蔵人が、海猫島まで押しかけてくるが…。

海猫亭へようこそ 10巻

全国フランス料理コンテストに出場することにした涼二。優勝できたら、羽純にプロポーズする決心である。全国のつわものシェフと競い、涼二は惜しくも第2位に留まった。しかし羽純に、高志が昔一度だけ出場した料理コンテストで、予選落ちしていたことを告げられる。もうこれ以上高志にこだわる事は無いと、鱒田にも言われ、涼二は羽純にプロポーズした。