あらすじ3.11のあの日、岩手県沿岸部を走る三陸鉄道では、路線の多くを被災した。大地震、津波の爪痕が生々しいガレキの中、それでも、さんてつマンたちは、自らの力で立ち上がろうとする……。三陸鉄道関係者、周辺の人々への綿密な取材を元に再構成する震災ドキュメンタリー漫画。「ブラックジャック創作秘話」の異才、吉本浩二が描く真実の人間ドラマの決定版!!
吉本浩二先生の描く漫画は私にとって 気にはなるけれど好みではない作風だった。 なんだか絵が泥臭い感じがして。 その印象はヒット作の「ブラック・ジャック創作秘話」を 読んでもあまり変わらなかった。 確かに面白いのだが、絵の泥臭さというか、 熱くるしさというか、 とても細かく書き込んでいらっしゃるのだが、 それが必ずしもプラスになっている漫画と思えなかった。 だが「さんてつ」を読んで、読みながら泣いてしまった。 なんら過激な演出などしていない。 ひたすら泥臭い絵をひたすら描きこんでいる。 その絵から、文字通りに被災地の泥の底に 色々なものが埋もれている感じが圧倒的に伝わってきた。 写真で見ることで伝わる被災者や被災地の惨状は 間違いなくリアルであり事実なんだろうけれど、 吉本先生の絵からはなにかそれ以上に伝わるものを感じた。