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劇場版アニメの2022年初秋公開が発表されて注目を集める『ぼくらのよあけ』! 作者・今井哲也氏は月刊アフタヌーン主催の新人賞「四季賞」出身であり、本作『トラベラー』は当時の選考委員・かわぐちかいじ氏から「にくらしいほどうまい」と評された2005年冬のコンテスト四季大賞受賞作。みずみずしい青春がタイムリープでその輝きを増す傑作長編、長き不可読期間を経て待望の公開!
劇場版アニメの2022年初秋公開が発表されて注目を集める『ぼくらのよあけ』! 作者・今井哲也氏は月刊アフタヌーン主催の新人賞「四季賞」出身であり、本作『トラベラー』は当時の選考委員・かわぐちかいじ氏から「にくらしいほどうまい」と評された2005年冬のコンテスト四季大賞受賞作。みずみずしい青春がタイムリープでその輝きを増す傑作長編、長き不可読期間を経て待望の公開!
『ぼくらのよあけ』アニメ化で話題、『アリスと蔵六』連載中の今井哲也先生はアフタヌーン四季賞出身で、2005年にこの『トラベラー』で大賞を受賞されてから2008年にアニメ制作高校生マンガ『ハックス!』で連載デビューとなります。私は当時この『トラベラー』で注目し、『ハックス!』をリアルタイムで追っていた今井哲也ファンです。 四季賞審査委員のかわぐちかいじ先生が「憎らしいほど上手い!!」とプロ目線で絶賛されるのを、その通りやなぁ……と思いながら、素人の感想として「将来のために今を大事にしなきゃ」と、心の底から思ったものでした。 バンドも好調、彼女ともラブラブな高校生が、とある地震観測実験の不測の事態に巻き込まれる。気がつくと4ヶ月後。バンドは解散、彼女とは別れていた……という物語。どうやらタイムリープを起こしたようで、元の時間に戻る事を目指しつつ、そればかりではいられなくなる。 物語のキモは、この世界に自分は「一人しかいない」事。 タイムリープというとその世界に自分が「二人」いるパターンもありますが、ここではそうではない。必然的にこの時間軸で「自分が」やってきた事を、彼は全て被る事になる。 ちょっとした綻び、無気力、あるいは抗えない運命……きっかけは些細なものでも、状況は雪だるま式に大きくなり、そのうち自分では動かせなくなる、そんな恐ろしさがここにはあります。 別の「自分」が招いた事態に、誠実に対応する主人公が切ない。彼を見ながら、一時の負の感情に身を任せて全てをぶち壊しにする恐ろしさを、私は切実に感じたのでした。 最後のバンド演奏シーンと(元)彼女のビンタと共に、心に痛みの残る作品でした。