あらすじ

江戸末期の鳥取藩・因幡郡円柱寺村。間引きされかけた男の子忌吉は、とろい上に盗み食いをして脚を折られた。役立たずと馬鹿にされるが、将棋を覚えて1文を賭けて勝負し、飢え死にを免れていた。願光和尚に負け、教えを請う。父が死んで一家離散した忌吉は、寺に引き取られて碁も覚えた。鬼封じの天元打ちを教えた願光は、城に呼ばれての争棋で体力をすり減らし、忌吉に九登寺に行けと言い残して死ぬ。「奇手鬼封じ」数奇な運命に弄ばれた天才棋士の物語。
天元坊(1)

江戸末期の鳥取藩・因幡郡円柱寺村。間引きされかけた男の子忌吉は、とろい上に盗み食いをして脚を折られた。役立たずと馬鹿にされるが、将棋を覚えて1文を賭けて勝負し、飢え死にを免れていた。願光和尚に負け、教えを請う。父が死んで一家離散した忌吉は、寺に引き取られて碁も覚えた。鬼封じの天元打ちを教えた願光は、城に呼ばれての争棋で体力をすり減らし、忌吉に九登寺に行けと言い残して死ぬ。「奇手鬼封じ」数奇な運命に弄ばれた天才棋士の物語。

天元坊(2)

材木商芦川屋の主人が世話をして、寂光寺で碁の修練に励む忌吉。十一世本因坊元丈門下・外山算節や、十二世本因坊葛野大和と対局した。しかし忌吉は、何度対局しても太田仙三に勝てない。忌吉の碁のために何百両と遣っていた芦川屋は、荷を積んで帰る持ち船がシケに遭って沈み、一気に身代が傾いてしまった。芦川屋はそれでも忌吉のために、五百両の借金をして仙三との対局を実現させる。