あらすじ材木商芦川屋の主人が世話をして、寂光寺で碁の修練に励む忌吉。十一世本因坊元丈門下・外山算節や、十二世本因坊葛野大和と対局した。しかし忌吉は、何度対局しても太田仙三に勝てない。忌吉の碁のために何百両と遣っていた芦川屋は、荷を積んで帰る持ち船がシケに遭って沈み、一気に身代が傾いてしまった。芦川屋はそれでも忌吉のために、五百両の借金をして仙三との対局を実現させる。
数少ない囲碁を題材とした漫画。江戸時代の貧しい百姓の子・忌吉が、囲碁の才に導かれるままに、囲碁の名家、本因坊家、安井家、井上家の高名な棋士たちと勝負を繰り広げてゆく。 囲碁が分からなくとも充分楽しめるけど、この時代の囲碁の世界というのが、政と密接に結びついており、かなり独特の世界である。天地明察にその辺の事情を細かく描かれているので、余裕があればそちらも合わせてを読むとわかりやすいかもしれない。 主人公は囲碁の才はあるけれど、決して最強というわけではなく、さらに優れた才能に敗れ悩み続ける。その間にも恩人との離別、裏切りなど数々のドラマチックな苦難があるのだが淡々と描かれる。そこが逆に勝負ごとに迫真さを増していてとても良かった。