あらすじ

この理不尽を生き抜け――!!すべての海が蒸発し、巨大化した水棲生物が “空流”を泳ぐ世界。「蟹工船」の底辺労働者たちは日々、国家の威信をかけた巨大蟹漁に身を投じている。孤児院に売られた流伽と柊は、命が使い捨てられる“この世の船底”で、いつか借金を完済し、二人で自由になる日を夢見ていた。しかし、蟹工船に暴政を敷く悪逆監督・九条に流伽が刃向かったことで二人の運命は大きく変わってゆく――。プロレタリア文学の傑作「蟹工船」を大胆SFリメイク。現代社会にも通ずる闇を深く抉る究極のエンターテインメント、開幕!
新約カニコウセン 1巻

この理不尽を生き抜け――!!すべての海が蒸発し、巨大化した水棲生物が “空流”を泳ぐ世界。「蟹工船」の底辺労働者たちは日々、国家の威信をかけた巨大蟹漁に身を投じている。孤児院に売られた流伽と柊は、命が使い捨てられる“この世の船底”で、いつか借金を完済し、二人で自由になる日を夢見ていた。しかし、蟹工船に暴政を敷く悪逆監督・九条に流伽が刃向かったことで二人の運命は大きく変わってゆく――。プロレタリア文学の傑作「蟹工船」を大胆SFリメイク。現代社会にも通ずる闇を深く抉る究極のエンターテインメント、開幕!

新約カニコウセン 2巻

蟹工船はオレたちの命を燃料にして飛んでいる――。すべての海が蒸発し、巨大化した水棲生物が “空流”を泳ぐ世界。「蟹工船」の底辺労働者たちは日々、国家の威信をかけた巨大蟹漁に身を投じている。孤児院でともに育った親友の柊を悪逆監督・九条に殺された流伽。「生きて船を降りる」という柊との約束を果たすため、命を懸けて蟹漁に出掛ける中、謎の青年・悠浬と出会うが…?そして、雲の上に住む上流階級の学生・田嶋が蟹工船に現れたことで船内では新たな理不尽が始まる――。プロレタリア文学の傑作「蟹工船」を大胆SFリメイク。現代社会にも通ずる闇を深く抉る究極のエンターテインメント、第2巻!

新約カニコウセン 3巻

監督の理不尽な扱いに耐え続けた流伽達は、船内の動乱に乗じ、ついに反撃の狼煙を上げる!プロレタリア文学の傑作を大胆リメイクした本作、待望の第三巻!

新約カニコウセン 4巻

鶯谷丸を脱出し、ユニオンの本拠地・ガゼル共和国へと足を踏み入れた流伽たち。「地上の楽園」と呼ばれ穏やかに見えるガゼルの都。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、地獄のような労働だった…!逆境に立たされながらも藻掻き続ける労働者を描く、SFアクション第4巻!!!

新約カニコウセン 5巻

ガゼルから鶯谷丸へと戻り、労働組合の結成を目論む流伽達。だが、彼らがいない間に船内の様子は一変していた…!横行するギャンブル・ドラッグ、そして各グループを統率するリーダー達。曲者揃いの船員を束ね、組合を結成することはできるのか!?この世の船底で藻掻く労働者を描く巨弾SF、堂々の完結…!

新約カニコウセン

小林多喜二もびっくり #1巻応援

新約カニコウセン 原田重光 真じろう
兎来栄寿
兎来栄寿

まさか、あの『蟹工船』がこんなSFバトルマンガにされるとは小林多喜二氏も想像もしなかったことでしょう。 この『新約カニコウセン』は、日々命懸けで「蟹」との死闘を繰り広げる立場の弱い奴隷のような労働者と、彼らを支配する者を描いた作品となっています。 恐ろしい進化を遂げた「蟹」とのバトルシーンは非常に激しく、緊迫感があります。傷つけ過ぎると商品としての価値が損なわれるのでただ殺せばいいというわけではないのは、モンハンでの捕獲の難しさを髣髴とさせます。 アクションも良いのですが、この作品の一番の見どころは何と言っても原作『蟹工船』に通底するテーマ性です。原作が書かれてから100年近くが経ちましたが、労働者の苦しみは今の世でも不変。もう少し未来になれば、AIなどによる労働が普及して人間が働かなくていいようになり事情も変わっているかもしれませんが、過酷な労働を課せられて命まで絶ってしまう人は令和になっても存在します。 しかし、もし仮に人間が全く働かなくて良くなったとしても、別の面で人間は互いを相対比較してマウントを取り争いを起こし優越感に浸る体験を求めて止まないし、それによって傷つき悲しみを抱える人間は尽きないであろうなという絶望感を感じさせるエピソードが描かれます。 SFバトルアクションになりはしましたが、一見した印象とは違い深奥のテーマとしてはしっかり『蟹工船』を踏襲しており、リスペクトも感じる内容です。 時代を越えて人間の普遍性へ響く名作の力を感じずにはいられませんでした。