あらすじ巨匠・森島貢(もりしまみつぐ)監督の新作『花、ひとひら』。サード助監督として就いた風間俊一郎は、主演の国民的女優・生方朋子(うぶかたともこ)の「女優をやめる」という爆弾発言を誰にも言えぬままロケに旅立った。ロケ先では、森島の横暴にスタッフの不満は限界を越え……。その頃、大部屋俳優・宮藤武晴は、新春オールスター映画『東海任侠道』に参加。梨園からのニュースター・市岡光春の「斬られ役」として臨んだシーンは、殺陣(たて)の支配権争奪戦となった!
戦後の日本人にとって一番の娯楽だった映画を撮る人々の物語。最初は助監督の風間と大部屋俳優の宮藤が主役の成り上がりバディ物かと思ったのですが、読んでいくうちに当時の映画業界や組織にもフォーカスするような群像劇になっていきました。戦前からの看板ベテラン俳優や世界的名監督の仕事樣はやはりかっこ良くて夢中になります。映画に詳しい人だったらモデルが誰なのかを考えながら読めるので更に楽しいのではないでしょうか。紙版だとカバー裏の本体におまけ漫画が描かれているのですが電子でも収録されてるのかな。師匠である浦沢直樹との会話も映画作りと繋がるところがありセリフとして使っていると描いてありました。最終話の後日談もここに描かれていて、これを読むか読まないかで読後感の好印象もより深くなるので重要だと思います。