日映のフォース助監督・風間俊一郎は、はじめての映画の打ち上げでの因縁から、師岡(もろおか)監督初作品の助監督に就くことになったが、それは穴埋めの三流企画だった。一方、大部屋俳優の宮藤武晴は、日映のスター、御大・市岡歌蔵(いちおかうたぞう)の主演作で、段取りを無視したために干されていたが、殺陣の名手、奥村(おくむら)との稽古で復活のきっかけをつかむ。──昭和28年の日本映画界を舞台に、デラシネ(根無し草)2人はテッペンを目指して駆け出した!!※単行本に収録されている「デラマンガ」「知るシネマ」はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。
戦後の日本人にとって一番の娯楽だった映画を撮る人々の物語。最初は助監督の風間と大部屋俳優の宮藤が主役の成り上がりバディ物かと思ったのですが、読んでいくうちに当時の映画業界や組織にもフォーカスするような群像劇になっていきました。戦前からの看板ベテラン俳優や世界的名監督の仕事樣はやはりかっこ良くて夢中になります。映画に詳しい人だったらモデルが誰なのかを考えながら読めるので更に楽しいのではないでしょうか。紙版だとカバー裏の本体におまけ漫画が描かれているのですが電子でも収録されてるのかな。師匠である浦沢直樹との会話も映画作りと繋がるところがありセリフとして使っていると描いてありました。最終話の後日談もここに描かれていて、これを読むか読まないかで読後感の好印象もより深くなるので重要だと思います。