東京・浅草。男が一人、浅草寺で涼を取っていた。名前は獅子雄三。わけがあって、彼は縁もゆかりもないこの浅草をうろつくのだった。喫茶店で昼食中、ヤクザ絡みの刃傷沙汰に遭遇した獅子は、ヤクザを刺した男を逃し、大怪我を追った親分を医者へ運ぶことになる。訪ね行った病院は後継者がおらず開店休業中……と、そのとき、雄三が自分で手術をすると言い出した。獅子雄三はこの病院に世話になろうとやってきた外科医だったのだ……暗い秘密を背負いながら、浅草の事件・いざこざを医療とステゴロで解決していく、ハードボイルドヒーローの活躍!
院長が亡くなり後継者がいないために休業中の、浅草にある三星医院に勤めることになった獅子雄三。彼は優秀な外科医というだけでなく、悪を成敗することにも長けていた…。そんな漫画やドラマには良くありがちな設定なのですが、ちょっとおちゃらけたところがあったり、別れた彼女を一途に想い続けていたり、情にもろいところがあったり、というキャラクターで、読み進めていくうちにどんどん獅子先生の魅力にはまっていき、あっという間に全巻読み終わってしまいました。さまざまな残虐な事件に巻き込まれつつも、持ち前の正義感と冷静さで、見事に問題を解決する獅子先生の姿は本当にカッコよくて、痛快です。残酷なシーンもしばしば登場しますが、獅子先生と三星医院の院長夫人、一人娘で看護師の知子とのコミカルな掛け合いも手伝い、残酷なシーンや数々の事件の暗くて重い印象を引きずることなく次のストーリーに読み進んでいくことができるのは、作者の漫画家としての手腕の為せる技でしょう。少し胸がキュンとしてしまう、最後のシーンもお見事でした。