あらすじひとのいのちがはじまるところを、わたくしは見ました。 「闇祭」――夏の終わり、1年に1度だけ天国の門が開かれて、新しい命たちを、世界の外の闇から迎え入れます。館の巫女マナヤさんもお母さんになります。同じ夜、幼いわたくしを可愛がってくださったクルスリの媼さまがお亡くなります。媼さまは仰いました。「こわいものかどうか、よく見ておきなさい」 深い深い闇の中で、ひとのいのちがはじまるところを、わたくしは見ました。 それは、天国の最後の夏でした。