あらすじクレシーの地でフランス軍を待ち受けるイングランド軍。国王エドワード三世は、来たる決戦では騎士の力だけで戦うと宣言。騎士たちが士気上がる一方、歩兵、そしてホークウッドたちにも妙な指令が下される……。
騎士が名乗りを上げ、戦場で一騎討ちをしていた時代。中世の戦争は殺伐としていても、どこか牧歌的だったと思われますが、この作品はそんな時代が終わりを告げる転換期を描いています。 野心に燃える傭兵部隊の隊長・ホークウッド。英仏百年戦争のアイコンと言えばジャンヌ・ダルクですが、恐らく彼のように野望を持った人間も恐らく存在したのだろうと思います(洋の東西を問わず、立身出世を成し遂げた英雄と、途半ばに倒れた多数の人間が歴史を動かしてきました)。 戦場の主役が、騎士から無名の兵士へと替わる。それは、戦死者が増大する所謂「殲滅戦」への入口となっていきます。 戦場にロマンはない。「狼の口」と同様、そんな現実を教えてくれる作品です。