あらすじ人づきあいが苦手で、自分に価値を見出せない真由美…。その原因は、高校時代の親友、桐子にあった。他の友達を寄せ付けないように仕向けつつ、最後は真由美の婚約者の子供を身ごもって結婚した(はずの)桐子。順風満帆なはずの彼女がなぜか「海猫荘」に現れる。トラウマの元凶に怯えながらも、真由美は凛への気持ちをどんどん自覚し始めて…。新しい家族のカタチを創る、最終巻です。
ここに居たい、とかここに居ても良いんだと思える場所があると、人は自分を肯定できるし、幸福を感じるんだなと思います。 親友に裏切られ、傷つき、癒やしを求めて田舎へやってきた主人公の真由美は、常に「これでよかったのか」と思い悩みながら、必死に自分が居るべき場所を探します。 「東京から来た女性と、田舎に住む女性が出逢って、恋をしました。」という単純な話ではないところが非常に面白いのです。内容からすると、3巻では足りないのでは?と思ってしまうほど複雑な人間関係が描かれているのですが、そこはしっかり3巻で美しくまとめてくださってます。 さらに主人公2人以外に、もう一組のカップルが描かれています。妾の子として親からの愛を受けられず、家の中に居場所がない少女・阿島と、その異母姉妹のさくらです。 言ってしまうと、私は阿島とさくらの関係性のほうが読んでいてドキドキしました。この2人が主人公のスピンオフ、待ってます…!笑 それぞれが、何かから逃げた自分も、何かを受け入れられない自分も、全部肯定してあげたうえで、居場所を見つけていく姿を最後まで見守るような物語です。