あらすじ

「さようなら、晃介さん」 そう言い残して、娘の友達・如月古都は姿を消した。追いかけることで、救える人がいる。追いかけることで、傷つける人がいる。苦しんで、苦しんで、苦しみぬいた晃介の決断は……。0か100かで語れないものがある。白か黒かで語れないものがある。本当は、僕の心も、君の心も、グラデーションの中で揺れ動いているから。社会の中で自己を抑圧する現代人へ贈る、“ミドルエイジ・ミーツ・ガール”ストーリーが、ついに幕を閉じる――。
娘の友達 1巻

家庭では「父親」として、会社では「係長」として、「理想的な自分」を演じるように生きてきた主人公・晃介。だが、娘の友達である美少女・古都との出会いにより、彼の人生は180度変化する。社会的には「決して抱いてはいけない感情」に支配されながらも、古都の前では自己を開放でき、社会の中で疲弊した心は癒やされていく……。「社会」のために「自己」を殺す現代社会へ鋭く切り込む、背徳のサスペンスが幕を開ける。

娘の友達 2巻

抜け出せるだろうか、娘の友達という名の沼から。 会社をさぼった。夕飯までに帰るという娘との約束も破った。夜の漫画喫茶で、隣にいるのは、娘の友達・如月古都。いけないことだと知りながら、心は弾んでいた。自分の心に忠実に生きる。誰にも言えない秘密の関係は、そんな大切なことも教えてくれている気がした。不登校を続ける娘とも、前よりも本音で向き合えるようになった。だが、もしも娘が復学したら、古都との関係はきっと終わってしまうだろう。そして、もしも娘が秘密を知ってしまったら、人生はどうなってしまうんだろう――。

娘の友達(3)

少女の手には、インスタントカメラが握られている。彼女はおもむろに僕とのツーショット写真を撮り、「現像するまでどんなのが出来上がるか分からないって、ドキドキしますね」と言った。それから静かに、「宝物のタイムカプセルみたい」と付け加えた。とても幸せで、優しい時間が流れた。僕と彼女は、出来過ぎなくらい完璧な世界にいた。ただ一点、彼女が、娘の友達だということ以外は――。大切な思い出が増えていく。増えていって、しまう。

娘の友達(4)

僕の世界と、君の世界は、何%重なっている? 娘の友達・古都との秘密の関係は、ついに終わりを迎えた。「おかしい」「変」「普通じゃない」娘の哀しい叫びは、誰が聞いても真っ当で、明らかに悪いのは自分のほうだった。でも、“普通”ってなんだろう――。人は他者と、いったいどれくらいの価値観や倫理観を共有できているのだろう。再びどん底まで堕ちた時、娘の友達のことが脳裏に浮かんでしまう僕は、やはり“普通”じゃないのだろうか。いや、そもそも、僕と彼女ですら、本当に同じ景色を見ているのだろうか――。

娘の友達(5)

抑えられない娘の友達への想い。その気持ちに、嘘をつくのはもうやめた。ただひとりの人間として彼女が必要で、彼女の哀しみに気づけているのも、世界中で自分ただひとり。これが、たんなる性的欲求でも、歪んだ父性の発露でもないことは、もう分かっている。でも、だからこそ…自分を取り巻く全ての人たちの、幸せと不幸せの天秤に、どう責任をとればいいのだろうか。

娘の友達(6)

箱根の旅館で、僕らはキスをした。ふたりで小さな布団に入りながら、君の思い出話を聞いた。そして、君の健気さと、苦しみを知った。君を助けたい。君の人生を変えたい。君を抱きしめたい。君のすべてを受け止めたい。君を、普通の女の子にしてあげたい。だから、どうか…どうか…僕を突き放さないでほしい。君との関係が会社に知られようが、君のお母さんに知られようが、僕はもう、迷わないから――。

娘の友達(7)

「さようなら、晃介さん」 そう言い残して、娘の友達・如月古都は姿を消した。追いかけることで、救える人がいる。追いかけることで、傷つける人がいる。苦しんで、苦しんで、苦しみぬいた晃介の決断は……。0か100かで語れないものがある。白か黒かで語れないものがある。本当は、僕の心も、君の心も、グラデーションの中で揺れ動いているから。社会の中で自己を抑圧する現代人へ贈る、“ミドルエイジ・ミーツ・ガール”ストーリーが、ついに幕を閉じる――。