あらすじ『アクセル・ワールド/デュラル マギサ・ガーデン』の笹倉綾人が、近代日本を代表する小説家・谷崎潤一郎の『春琴抄』を下敷きに新たな物語を紡ぎ出す――本作『ホーキーベカコン』。時は江戸末期。天性の舞の才を持ちながら病で失明した美貌の少女・鵙屋琴と、琴の身の回りの世話をする奉公人・佐助。高慢な琴に対し一途な献身を見せる佐助は、甘美な地獄に堕ちていくことに……。
日本の文学史上でも最も変態的でフェティシズムに溢れた作品を描く作家の一人である谷崎潤一郎。その代表作である『春琴抄』を見事な筆致でコミカライズしたのが本作です。 何と言っても、主人公・琴の幼い頃から漂う妖艶で危うい魅力が笹倉綾人さんの美麗な絵で見事に表現されているのが素晴らしいです。美しく金色に彩られた装丁の表紙に描かれた琴の眼力に惹かれるものを感じたならば、その勢いのまま手に取ってみて間違いありません。 蠱惑的なあのシーンも、背徳的なあの描写も、マンガという媒体のパワーを十全に発揮して描かれており、原作を好きな方も知らない方も楽しめる内容になっています。この作品を読んで原著へ向かう切っ掛けとなる方も数多くいるでしょう。中学生や高校生が文学史を学ぶ際の副読本としてもぜひお薦めしたい作品です。