歴戦の冒険者パーティーに所属していたニックは、父のように慕っていたリーダーから追放を言い渡された。だらしない仲間たちのため、金勘定や知識面などで彼らを支えていたにもかかわらず、横領の濡れ衣を着せられて……。恋人にもフラれ、すっかり落ちぶれてしまったニックだったが、偶然にも酒場で相席になった元貴族令嬢、破門神官、女竜戦士と意気投合する。人間不信の冒険者たちが、最強のパーティーとして歩む冒険譚、ここに開幕!
絶大な魔法の力により圧政を敷くダイラン魔導王国。しかし、時期女王となることを来たいされていたジル・ダイランは、魔法の能力が絶望的に乏しいことを理由に17歳の誕生日を機に王城から追放されてしまう。追放先の屋敷でひとり悲しみに暮れる中ジルは、偶然にも異世界の魔導書を発見しそこに記されたモノづくりの知識に圧倒される。そして心機一転王城暮らしの中では許されなかった服飾品作りに奮起することに。繊細な魔法を駆使したジルのモノづくりの才能はやがて、街の人々の目にも触れることとなり――。
こうした世界観で見ていると主人公たちは「落ちぶれた」というほどの痛手には見えない。それは主人公の「ニック」をはじめできたサバイバーズ全員「出来た」存在だからではないか。自分に伸びしろが無ければ冒険者パーティやそれなりに地位のある存在がしくじって吠え面を書けば「ざまぁ」と思うはず。素直にお互いの境遇を「不幸」として受け止めて他人事にしていない時点で彼らは何処へ行ってもやっていける性根であることを表している。世界を救う「ようです」というタイトルもこういった人間性は世界にとってメリットでしかないことを表している。
美麗な絵が付くとやはり読みやすいし、短くされているとはいえ冒険者たちのダメダメな表情が実に愛おしい。 ストーリーを言うと中堅どころの冒険者PTに所属していたニックだが、細々とした裏方仕事をウザがられて追放されて…といういわゆるなろうの「追放物」のテンプレっぽく、実際なろう版も存在するのだが この作品の実に面白い所は、そうして身を堕としたダメ人間描写が一々説得力と生命力にあふれまくっている所。 メンバーが落ち込んだ時に出会ってしまった趣味がアイドルオタク、キャバクラ好き、賭博好き、食い歩きなのだが、小説版ではここがまあ実に生き生きとしたダメな趣味に出会ったダメ人間を軽妙な筆致で描いていて、感心した物。 漫画版ではこの部分が、主人公ニックのアイドルオタクになる部分しか描かれていないが、実に残念。 とはいえ人間不信なりに仲間との絆を作っていく姿、その為のルール作りなどは所謂ぼっちの人には中々共感できそうな部分も有り、何だかんだ仕事と生活が充実して、現実から逃げるようにハマったダメな趣味が、健やかに自分の生きがいとなる健全な趣味になっていく様なども中々読ませてくれる。 戦闘部分は小説版ではそれ程しっかり読んでいなかったのだが、作画担当の絵が上手いのでここも楽しめる物になっていて、コレは漫画版ならではの利点と言える。 タイトルからするとこの後は大きなヤマにぶち当たるのだろうが、なろう版を読んでも世界を救うのはだいぶ先になりそうである。
こうした世界観で見ていると主人公たちは「落ちぶれた」というほどの痛手には見えない。それは主人公の「ニック」をはじめできたサバイバーズ全員「出来た」存在だからではないか。自分に伸びしろが無ければ冒険者パーティやそれなりに地位のある存在がしくじって吠え面を書けば「ざまぁ」と思うはず。素直にお互いの境遇を「不幸」として受け止めて他人事にしていない時点で彼らは何処へ行ってもやっていける性根であることを表している。世界を救う「ようです」というタイトルもこういった人間性は世界にとってメリットでしかないことを表している。