黒岩メダカに私の可愛いが通じない
これぞ王道ラブコメ
黒岩メダカに私の可愛いが通じない 久世蘭
六文銭
六文銭
モテまくる美女モナちゃんだが、クラスメイトの黒岩メダカだけはまったくなびかない。 仏門の身で修行中だからとか、そんな理由なのだが、煩悩に翻弄されないよう目つき悪く睨むことで耐えている。 誰も彼もに、ちやほやされていた彼女にとって、その態度が気に食わないから、彼女の心に火が点いて・・・という展開。 どんな男からも惚れられたいという神経は全く理解できず、むしろイヤなキャラになりそうなものだが、なぜか彼女だけは許せちゃうから不思議。 心の声が関西弁なのが、面白おかしくなっているのも理由なのかも。 あざといし、お色気作戦もやったり、なんでそこまで?と思わなくもないが、奮闘して基本失敗していく様は可愛い。 ライバルなんかもでてきて、別に好きでもないと言い張りながらも、焦る様も可愛い。 黒岩メダカも、男版ツンデレともいえる、時折デレて距離感が縮まっていく様もいいです。 もう好き同士でしょ? と野暮ったいことも言いたくなるが、そんなツッコミは抜きにして、ラブコメはこれくらい軽いほうが、個人的には好みだったりします。 THE・少年漫画のラブコメという感じです。
勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~
追放された不遇主人公が最強になるまでの話
勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~ よねぞう
六文銭
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いわゆる、勇者パーティーに追放されたけど、実はすごいスキルの持ち主だった的なお話。 元々は、剣を使うアタッカーだった主人公。 勇者パーティーでの構成を考えて付与術師という支援系のジョブにコンバートしたが、能力があまり認められず追放されるという流れ。 剣も魔法もそこそここなせる器用貧乏的な立ち位置で、何か特化していないことが扱いにくく、途中からのジョブチェンジによる能力も微妙だったとか、そういう感じ。 ソロで活動していると冒険者の教育役の依頼を受け、そこから冒険者のギルド的な組織との派閥争いなども展開されて、持ち前の能力で立ち回っていく。 最初のほうに色々伏線があって、気になりながらも、ストーリーがわかりやすくすすむのが個人的によかったです。 これ系の話って、世界観の話とか、冒頭にごちゃごちゃしがちなので、そういうのもなくスンナリ読めたのがよかった。 キャラも可愛いし、バトルも意外とアツイ。 大きなくくりでは、ゲームの世界に類似した異世界ものですが、バトル・ラブコメ的なものとしても楽しめる作品だと思います。
離婚しない男
親権のためにあえて離婚しない男
離婚しない男 大竹玲二
六文銭
六文銭
エッセイとか離婚切り出す系マンガが、大抵夫の不貞・非協力的な態度による嫁側の視点だったけど、本作は男性側が離婚を切り出し、ちょっとした法律的な話もわかる、目からウロコな作品。 自分も、本作を読むまで「母性優先の原則」という、離婚すると親権は大体、というか9割が母親がもっていることを知りませんでした。 本作の内容は、そんな親権を欲する父親が主人公の話。 嫁は専業主婦だが、家事をしない、それどころか浮気三昧で、また娘を自分のエゴで芸能界にすすませようとする。 主人公は、上記の原則を知りながら、なんとか親権を獲得すべく、仕事よりも家庭を優先し、浮気の証拠を集めるという流れ。 家事など子供のために色々やっていることも親権獲得のために有利に働くから。 内容も結構ドラマチックなのですが、上記の原則だけでなく、父親が親権獲得するためにやるべきことや、社会構造の歪さなど知れる、なかなか社会派な感じ。 共働きも多い現代で、まだ母性優先なのなんでだろ?と純粋に疑問にもってしまった。 離婚後も、女性が子供を育てて、夫は養育費を払う、という、男が外で働き女性が家庭に入るという考えが根付いているからだろうか? 夫目線としては、全般的に嫁側の行動が胸糞な感じなのですが・・・。 親権獲得のために弁護士や探偵を駆使し並々ならぬ努力する主人公の姿に共感&圧巻です。
アンメット
アンメット(Unmet)であるということは
アンメット 大槻閑人 子鹿ゆずる
mampuku
mampuku
Unmet Medical Need(満たされていない医療ニーズ) これをタイトルに掲げている通り、単に医療という大きなテーマに挑んでいるにとどまらず、いろいろな悩みや欠点を抱えた人間同士の相互のドラマが非常に面白い漫画です。 主人公の脳外科医は外科として優秀なだけでなく常に患者やその家族に寄り添うことによって救おうとする。しかし医療全体の最適化を図りたい経営者たちや、異なる信念を持った同僚たちとしばしば衝突する。また寄り添うべき患者も、患っているのはほかでもない「脳」である。いくら主人公たちが有能かつ真摯だとしても、彼らの苦しみを本当の意味では分かち合えない。数学における不完全性定理のように、医療とは、どこまでいってもアンメット(Unmet)なものである運命なのかもしれません。 医療漫画はどうしてどれもこれも面白いのか、とときどき考えます。膨大な取材や考証、高度な画力、これを社会に訴えかけたいという熱い思い……数え切れないほどに高いハードルが山積みであるため、世に出た医療漫画というのはすべからくハイクオリティでなければならない、という前提はあると思います。ですが読み手の目線から考えたとき、きっと医学とは人間なら誰しも無関係でいられないからなのかもしれないなとも思います。大半の人間は病院で死にますし、日本の制度では死亡確認ができる(=人の生死を判断する)のは医者だけです。病と死について真剣に向き合って本気で描かれたプロの漫画が、面白くないはずなどないのです。