スクールバック
「糸目で京都弁」というだけで大ストライクなのに、お話も良いなんて!
スクールバック 小野寺こころ
ナカタニエイト
ナカタニエイト
<ログライン> とある高校の用務員さんが、子供たちとやり取りする話。 <ここがオススメ!> 思わずジャケ買いをしてしまった作品。 見事にビンゴ。超好き。 なので、表紙だけで「ピン!」と来た人はまず読んでください。 きっとその「ピン!」は間違いありません。 表紙だけで「ピン!」と来なかった人に少しだけ補足します。 ・学校物です。 ・学生さんは基本的に優しいです。 ・ただ、それぞれ悩みを抱えています。 ・それはきっと大人から見れば取るに足りないことかもしれません。 ・ですが、それは本人からすれば重大な悩み事です。 ・そんな悩みを用務員の伏見さんが聞いてあげます。 ・解決するかはわかりません。 ・でも、「話を聞くこと」ができる大人な伏見さんが側にいます。 ・糸目用務員の伏見さんは、超絶綺麗だし格好良いしです。 ・説教臭さも学園物として見事なバランスです。 そんなお話です。 ぜひ読んでください。 <この作品が好きなら……> ・センチメンタル無反応 https://manba.co.jp/boards/168835 ・氷の城壁 https://manba.co.jp/boards/187345 ・四十九日のお終いに https://manba.co.jp/boards/177179
クジマ歌えば家ほろろ
妙なリアリティのある奇妙な鳥人間と居候コメディ!
クジマ歌えば家ほろろ 紺野アキラ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
めっちゃくちゃ好きです!! 中学一年の鴻田新(こうだあらた)が学校からの帰り道に出会ったのは腹をすかせた奇妙な人型の鳥みたいな人語を話す生物・クジマ。 聞くところによるとロシアから来たという。 日本食が食べたくて来たというが…。 いろいろあって翌年の春にロシアに帰るまで住むことになったクジマと鴻田家のホームコメディ! https://gekkansunday.net/work/4466/ 1話あたりそこまで長くない話で、寒くなると日本に来て暖かくなるとロシアに行く渡り鳥みたいなやつに居候されるっていう奇妙な設定が素晴らしくハマって面白いです! 奇妙な鳥ってだけでも面白いのに、ロシアから来てるからロシア語話せるしロシア料理作れるし、たまに外国人みたいな「分からないデス」みたいなとぼけ方を入れてきたり、ブチ切れるとロシア語で罵倒したりともう、面白い! 単純にロシア人の留学ものとして見てもいいのかなって思ったら、最悪、虫食べて生きていけるっていう、それはもうマジで鳥じゃんっていう部分も垣間見せたりでクセになる! 紺野アキラ先生、いままで読切も漏れなく全部面白かったので、連載始まって本当に嬉しいです! ホラーも面白かったので、この鳥にも少し怖さがある気もしますが、ホラーとコメディって表裏一体なので楽しみです。
ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~
ゾンビだらけの世界でやりたいことをやる
ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~ 麻生羽呂 高田康太郎
六文銭
六文銭
ブラック企業で死んだような生活をしていた主人公。 ある日謎の感染によってゾンビだらけの世界になってしまい、そこで絶望するどころか、会社にいかなくてよくなった解放感で、これまでできなかったことをやっていこうという話。 荒廃した世界の中で、なんとも前向きな話。 ただ、自分もいつ死ぬかわからない状況になったら、将来とか老後とか考えずに今何をしたいかを優先するんだろうなと思うと納得できる。   ゾンビに襲われる描写もあるが、そういったパニックホラー的な話よりも、それ以上に「生きること」にフォーカスしている感じが良い。 主人公のブラック企業から解放だけでなく、友人のケンチョは本当はお笑い芸人になりたかったとか、 ヒロイン・三日月閑も、厳しい父親の教えから、やりたいことよりもやるべきことを優先されて生きてきたことからの解放も描かれたり、登場人物何かしら縛られていた環境や過去から脱却は、読んでいて気持ちが良い。 人間何かしら不自由だったり、制約があるなかで生きてますからね。 こんな世界にならないと、やりたいことを思いっきりできないのは弱冠悲しいが、だからそ登場人物たちが生き生きしている様がイイ。 読んでいて元気になる作品です。 アニメや実写化などメディア展開も華々しい作品なので、そちらもチェックしたくなりました。
十五野球少年漂流記
新たなる遺志を継ぐ、高校野球物語 #1巻応援
十五野球少年漂流記 白井三二朗
兎来栄寿
兎来栄寿
『カノジョは絶対、ボクのこと好きなはず』や『Dear Monkey 西遊記』の白井三二朗さんが描く、新たな野球ストーリーです。 白井三二朗さんといえばどちらかというとかわいい女の子を描くイメージが強かったのですが、2021年に読切「邪神打線」を描いていることもあり野球マンガを描きたい想いが強くあったのかもしれません。 タイトルだけ見ると「15人の野球少年が異世界転生して野球するのかな?」と思う方もいるかもしれませんが、純粋な野球マンガです。ただ、近年また新しい野球マンガがたくさん登場していますが、本作も切り口は独特なものとなっています。 30年以上の高校野球監督歴の中で3校通算22回も甲子園に出場し全国制覇も成し遂げた名将・大倉祐一。そんな大倉が率いる名門校・東王を、かつて公立校として追い詰めた県立大江山高校のピッチャーであった若林耕一郎。 そのふたりが、100年女子校として続いてきた博愛学舎が共学化するに際して新設される野球部で全国制覇を目指していきます。 そこまでは良いのですが、新チームを発足しようとした矢先に大倉のガンが再発して帰らぬ人となってしまいます。「大倉さんがいるなら新設の野球部でも」と入学しようとしてくれていた新入生も、半分以下になり残されたのはたった14名。 若林はそれでも残ってくれた者たちを大倉が残した50年分ノートを元に指導していこうとするも、肝心の中身の字のクセが強すぎて解読が困難であるという問題がありました。 そこに断片的に描かれた「部員全員がマウンドに立てることを目指す」という新たな野球の構想の実現に向け、チームをマネジメントしていくこととなります。 ピッチャーが野球において特に大切であるというのは、多くの人が納得するところでしょう。だからと言って全員を大谷翔平選手とまではいかなくとも投げて打てる選手にするというのはなかなか大胆な発想で面白いです。なぜ名将がそんな発想に至ったのかを読み解いていく、ある種のミステリ的な楽しみもあります。 野球マンガですが、監督側の苦悩も多く描かれており、硬式と軟式出身者の確執、陸上しかやってこなかった者や性格に難がある者など一筋縄ではいかないチームをまとめていかねばならない難しさが描かれています。 指導者側のキャラクターとしては、かわいい見た目でありながらセパタクローとスカッシュで日本代表を務め女子ラグビーを全国優勝に導いた責任教師・吉島苺もいい味を出しています。メンターとしての有能さと、プライベートの抜け感のバランスが良いです。 グラウンドを見たときの感想であったり、セルフマネジメントのシーンであったり、エピソードでそれぞれのキャラクターを描いていくのが上手いので14人それぞれの掘り下げが深まったらこのチームをとても好きになれそうです。 偉大な先人の遺志を受け継いでそれが大成するのかどうかという視点のウェイトもあり、従来の野球マンガとはまた違った部分で楽しめる新たな高校野球譚です。