釘、楔、轍
重さと軽さが同居する、命の話
大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。
対立した国同士が仲良くなる話
心温まる素敵なストーリーだった。 人物に好感が持てる。 1巻で終わっているのもちょうど良く、少し余韻の残る終わり方がいい。
おやつ好きな文豪と、見習い編集者
まず読んですぐ思ったのは「続きが読みたい〜!」でした。 もちろん1話だけでも十分な満足感を得られましたが…小鳥遊くんがどんな編集者に成長していくのか見守りたい。鶯谷先生からもらった言葉は彼にとって一生の宝になるだろうな…(泣)
めっちゃよかった読切!!
たまらなくよかったです!涙腺にくる!小学校の勉強くらいはやれば簡単にできた主人公の少女・ユキコ。彼女が通っていた塾では授業後に希望者に向けた「数学クラブ」が開かれており、そこでは大学生のバイト・さやかが先生として教えていた。問題を解き終えると新たな問題を出題される戦いのような二人の関係は続いていくが…。自分のことを天才だと思っていた少女と、その道の先にいて導く存在でありながらライバル的存在の先生。いずれは追いつき追い越そうと思っていたのに…、と突然の喪失感とラストの彼女の強い目に痺れました。 以前読んだ同作者さんの読切も非常に良かったのでぜひ! https://magcomi.com/episode/11341664176567672162
散歩しようぜ!
とても静かな漫画。 孤独のグルメ以上に淡々と、何も起きず、時間はただ過ぎるばかり。 そこにあるのはとても上質な退屈。 散歩で得られる気持ちがある。 それは癒しと言うと簡単になってしまう、安堵のような感情。 新しいまわり道を見つけた嬉しさ。 誰かの落とし物を見つけた寂しさ。 散歩でしか補充できない心のゆとり。 が、この本にあります。 雨の日、暑い日、雪の日、散歩がしたくてもできない日。 この本を読めば、散歩をしたのと同じ気持ちになります。 散歩を愛するひとへの漫画です。
石黒正数の『熱』
起承転結がはっきりしていて破綻がない、理性的な超実力派。 それが自分の石黒正数に対するイメージです。 ですがこの本は、そんな氏の作品の中でひときわ「衝動」的なものを感じました。 物語のベースは、 夢あり女子大生 & 夢なし女子大生のふたり暮らしの自堕落な日々... みたいな感じです。 でも決してただのほのぼの漫画ではない。 組み上げられたストーリーと気の利いたギャグ、 その完成度はそんじょそこらの作品とは満足感が違います。 そして人生です。 ここが熱い。 漫画家漫画にハズレなしとどこかのネット記事に書いてありましたが、 その法則で行くなら本書もまた「クリエイター漫画」です。 あ、そう、ミュージシャンの話です、この漫画。 漫画家とミュージシャン、どちらも創作的な職業です。 石黒氏がその半生で得たこと、 感じたことがそのまま置き換えられて、 描き連ねられているのだと直感でわかります。 そりゃついペンにも力がこもりましょう。 人生が乗ってるからこその説得力、リアルゆえに込められた強い想い、 それがこの漫画にはあります、多分。読みましょう。面白いです。
こういう会話劇おもしろい!
※ネタバレを含むクチコミです。
新感覚入れ替わりサスペンス!
面白いですねー! 主人公の男子高校生・小柴楓は、ある朝目覚めると見覚えのない女子高生になっていて夢かと思うが、一日おきに自分の身体と彼女の身体が身体が入れ替わっていくことで現実で異常なことが起きていると気付く。彼女とコンタクトを取ってみると…。 という始まりで、ふんふん、入れ替わりモノの新しいラブコメかな?とか思っていたら1話読み終わった頃にはひっくり返った! そうかー!そういう話ですか!と。 しかしこれ本当にどうなっていくんだろう!? もう引き返せないというか、その状態になった主人公はタイトル通り「復讐」をするのかな、とか、それはミスリードでもしかして復讐は別のことにかかってるのかな?とかいろいろ考えてしまう! 入れ替わっていた間の自分の観測範囲外が重要で手掛かり探していく形になるのかな。 というか主人公の状態を周囲は信じてくれるのか、誰に言えずに隠すのか、めちゃくちゃ気になる! 女の子の絵がとっても可愛いし、ぞっとさせるような怖い顔や目も描ける方なのでサスペンス展開をどう描いていくのか楽しみ。
強烈なブラコンコメディー
※ネタバレを含むクチコミです。
ドラマ化
原作とはあんまり関係ないみたいだけど、 見ようと思います。 原作改変部分としては、主人公の同僚刑事・五味役が 黒木メイサで女性化。 小日向文世の灰川十三は悪くないと思います。
いろいろ唐突だけどいいと思う
冒頭、バスケ部と卓球で勝負したり、中国帰りの上級者が着ぐるみきて大会出てたり、色々唐突というか無理やり感ある設定はあったものの、同じ振りで回転量をコントロールするくだりとか、長期ラリー戦に持ち込むくだりとか、卓球のポイント押さえてて面白かったし、一卓の純粋なキャラクターは清々しくてよかった。 これから物語に絡んできそうなキャラがたくさんいたり設定も展開を感じさせるものだったのに、終わり方が突然。人気なくて打ち切りになった?と想像してしまうような終わり方。 気軽に面白く読めて爽やかな気持ちになれたので、いいマンガだと思う。
根っこから強い人間なんていない。 何事にも動じない人、飄々としてる人、人生達観してる奴、 どんな人間もみんな腹には何かを抱えている。 読んでると苦しくて、気持ち悪くて、 でも読まないといけない気がして本を閉じられない。 目を背けてはいけないと思う。 戦争のニュースを見ている感じ。 岡崎京子の好きなところは、全部を逃げずに描き切るところ。 人間の汚いとこ、綺麗なとこ、全部まとめてこねていじってそれでもやっぱりキレイでしょ、と彼女は言う。 そこでああこの人は強い人だと思ってしまうけど、 いや強いだけの人にはこんな漫画書けないよな、とも思う。 読み終えたあと、自分の体に釘が刺さって一生抜けないような、そんな漫画をこの人は描く。 弱い私たちに、ありったけ残酷を突きつけた上で、 それでも生きようぜと、 生きた方がハッピーじゃんと声を張って叫ぶ。 これは私に必要な漫画だ。 誰にとってもきっと意味ある漫画だ。 全ての若者に岡崎京子を。