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「私たちは、幸せになってはいけない」肉と人付き合いが苦手な長女・波留子。ミーハーなネイリストの次女・奈津子。受験と彼女のことで年相応に悩む長男・亜紀斗。閑静な住宅街にあるアパートの一室、親元を離れて暮らす彼らは、端から見れば至って普通の三姉弟だった。ある夜、奈津子の左手の薬指に嵌まる指輪を見た波留子は激昂する。長女が婚約に反対する理由は、姉弟たちの“過去”が関係していた――。『わたし、今日から「おひとりさま」』のきよね駿が新たに描く、それぞれの平穏を求めて生きる家族の物語。
色々考えさせられる作品だった。“親ガチャ”なんて言葉もあるとおり、子供は親を選べない。凶行を繰り返した挙げ句に捕まった両親は自業自得だが、その後の非難や好奇の目に晒されるのは、本人ではなくその家族なのだ。人生を謳歌することも許されずに息をひそめながら暮らす子供たちに胸が痛んだ。
特に両親の手伝いをさせられていた長女はずっと罪悪感も背負ったまま、地獄の日々を生きている。そんな子供たちが本当に少しずつだが、普通の幸せを掴もうと奮闘する姿に、心の底からエールを送りたいと思った。
どうかこの子たちに祝福される未来が訪れますように…と、願わずにはいられない。