自転車版の『茄子』といった趣のオムニバス長編
黒田硫黄自身のほのぼのエッセイの漫画、西遊記の漫画、火星の自転車屋さんの漫画が代わりばんこに出てくる。相互に関わりはないんだけど、『自転車』というワンテーマで共通しているというやや凝った構成のオムニバス長編 一般の漫画雑誌でなく自転車の専門誌『サイクルスポーツ』での連載だったからややマニアックな描写が多いものの、知識がなくとも黒田のほとばしる自転車愛がそれを補って不思議に読ませる 周りのキャラクターや背景が筆書きなのに、火星人の幽霊の子だけペン描きというのは新しい描写だなと思った その火星人の幽霊の女の子が自転車のタイヤとよく似た成分の植物(!?)に全身をまきつけられているところを主人公に発見された時に「にゃーん」と呟くシーンがなんだか好きです。 自転車を捨ててしまって久しいけれど、健康の為、また乗ってみようかなと思いました
第5話に山田芳裕の「大正野郎」が大学時代のバイブルだったという記述があるというのでそれ目的で購入しました。本当に1コマだけど満足です。自転車情報誌に連載されていたとあってマニアックな描写も多いですが貴重なエッセイ回もあるので楽しいです。私が毎日乗ってるサビまみれでボロボロなママチャリを黒田硫黄が見たら引くだろうな…。