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【あらすじ】パートで働きつつ、いつか夫と別れることを夢見る主婦・山田あずさ。経済的な苦しさ、夫との不仲、あなどってくるママ友たち。そんな窮屈な日常から抜けだすために、こっそり始めた「デイチューブ」の動画配信に、あずさは少しずつのめりこんでく。唯一の理解者である娘・ふうかを傷つけない発信だけには気をつけていたあずさだったが、人気を得るにつれて徐々にふうかを利用するようになっていき―――。なぜ親は子どもの素顔をネットに晒すのか、その後大きくなった娘が抱える問題とは? 動画配信によって歪んだ親子の関係性を描くセミフィクション。【解説】高橋暁子(ITジャーナリスト) 【「シリーズ 立ち行かないわたしたち」について】「シリーズ 立ち行かないわたしたち」は、KADOKAWAコミックエッセイ編集部による、コミックエッセイとセミフィクションのシリーズです。本シリーズでは、思いもよらない出来事を経験したり、困難に直面したりと、ままならない日々を生きる人物の姿を、他人事ではなく「わたしたちの物語」として想像できるような作品を刊行します。見知らぬ誰かの日常であると同時に、いつか自分にも起こるかもしれない日常の物語を、ぜひお楽しみください。
自分の収入とか承認欲求を満たすために、インターネット上に子供の顔を晒すような親は一般的に非難されて然るべきだと思います。しかしこのマンガにおいては、絵に書いたような最悪モラハラ夫との離婚が目的としてあって、読んでいる方としてはそれを応援したい気持ちになるので、主人公の行動をすべて否定する気持ちにはなりませんでした。
もちろん目的のために子どもの気持ちを無視して自分の欲求を満たすためだけに利用したというシーンもありますが、結果論ですがそれによって子どもが危険な目にあうことはなく(いじめはあったけど)、離婚も成立し、最終的にインフルエンサーまで登り詰めています。仮に動画配信が上手くいかず、離婚が実現しなかったら…と考えると、一概に悪とは言い切れない。
ただやっぱりこのマンガでは、実際子どもは親の知らないところでいじめにあい、母親が成功した後にも心に負った傷は癒えぬまま成長しているというオチで締めくくられているので、子供の顔をネットに晒すことにある程度の警鐘を鳴らしているんだろうと思います。