『銀のニーナ』イトカツの紅茶を巡るオムニバスにコメントする
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女王陛下の紅茶

紅茶の奥深き世界 #1巻応援

女王陛下の紅茶 イトカツ
兎来栄寿
兎来栄寿

『銀のニーナ』のイトカツさんが2007〜2011年まで、かつて存在した『スーパージャンプ』及び『オースーパージャンプ』にて不定期で散発的に描いていたシリーズが長い時を経て単行本化されました。 鎌倉の紅茶専門喫茶店「ERNEST」を舞台に、さまざまな悩みを持った人が来店してそれぞれに合った紅茶を提供されることで人生の悩みを解きほぐしていく1話完結型の物語です。 我が家は常飲するのは緑茶とコーヒーがメインですが、それなりに紅茶も飲むので紅茶に関するさまざまな知識が詰まったこの作品は興味深く読みました。 イトカツさんがあとがきで述べている通り、リーマンショック直後のお話のように時勢が変わってしまっているものもありますが、一方で紅茶にまつわる基礎的な知識は年月を経ても普遍的なので今読んだとしてもまったく問題なく楽しめます。 ・硬水を使ったミルクティー ・中国のブルゴーニュ酒と言われる紅茶 ・フォートナム&メイソンのアールグレイクラシック ・レモンたっぷりドライベンガルタイガー ・紅茶の中にジャムを入れない正式なロシアンティー ・チャイ などなど、ひとくちに紅茶と言っただけでは想像しにくいさまざまな側面を見せてくれます。 そして、訪れるお客さんも老若男女さまざま。家庭の問題や仕事の問題、個人的な人生におけるモチベーションなど悩みも人それぞれ。人によって、共感できるエピソードがどこかしらあるのではないでしょうか。各々の物語に沿った紅茶が提供されることで、彼らが立ち上がって前を向いていく姿にも心が温まります。 奥深い紅茶の世界について知見を深められながら、温かい人情ドラマを楽しめる作品です。読むと、ちょっと良い紅茶を淹れて飲みたくなります。

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