幼いロマンシスと喪失の海 #1巻応援 #完結応援
本作を読み終えて数日が経った。その印象はあまりにも鮮烈で、私は日々の隙間を見つけては主人公と、彼女の大切な人について考える。美しい友愛と、その喪失を。 主人公を暗闇から助け出してくれたあの子。二人の日々は眩しくて、私は自身の幼い恋や友情を思い出す。 ナイショがあってもいい、寄り添うことが相手への想い。そんな二人だけの独特な関係に、心温まりつつ強く魅了される……それだけに、後半の展開は辛い。 主人公は単純に悲しむだけではない。その言動はキューブラー・ロスの「死の受容5段階」がモデルにあるのだろうか。喪失を否定するように怒ったり、取り戻そうとしたり。 「彼女を留めておきたい、忘れたくない」という強い想いはしかし、足掻けば足掻くほど苦悩の深みに嵌まっていく……絶望感を共有する。 しかし生き残った人には、明日が来る。 恐らく友情も恋も、人生の目的ではない。それは人生を支えるもの。大切な物を沢山くれた、特別なあの子を特別なままに相対化する主人公の、漆黒の海に夜明けは来る……その静かで晴れやかな終局は、今もさざなみのように心に打ち寄せる。
死んじゃった友達の名前をカッターで手首に掘る女、ヤバ!!
「作品だけでもこの世に残しておかないとその人としての存在が消えてしまう」という思い込みを、自分も創作活動の中に身を置くことで「作者の本当の感情までは理解できない(=作品は作者のもの)」という考えに昇華していく。その克服シーンが、死んでしまった友達と夢の中でネコ語(本当の気持ちを隠したコミュニケーション)を交わす絵で描かれるのが凄い。
"Life goes on"的な物語が個人的に最近刺さることが多い。
星期一回収日さん、『綺譚花物語』と比較すると今作は黒い画面が特に印象に残る。