人の心って難しい。#1巻応援にコメントする
保健師がきた
多様化した現代における「保健師」という仕事 #1巻応援
保健師がきた 埜納タオ
兎来栄寿
兎来栄寿
前作は『夜明けの図書館』でレファレンスサービスの仕事を描いていた埜納タオさんが、今回描くのは保健師の仕事。どちらも、知っているようで知らない世界の事情を見せてくれます。 少子高齢化が急速に進み家族のあり方が変わって、孤立死の問題など新たな健康課題が複雑化・多様化しています。そうした状況の中で、従来の住民に身近なサービスに加えて専門性の高い業務や健康施策の推進にあたっての企画調整など、幅広く活動しているのが保健師です。 保健師の中にも地域の保健所や市役所で働く「行政保健師」、企業の医務室や健康相談部で働く「産業保健師」、小中学校などで働く「学校保健師」などの種類がありますが、本作は行政保健師を描いた作品となっています。 瀬戸内を臨む小さな町を舞台に、22歳の新米保健師である三御一花(さんごいちか)が主人公として、実地指導者(プリセプター)である七海さやかに鞭撻を受けながら奮闘していきます。 元々は陸上をやっていた一花ですが、ずっと補欠であり、しかしそのときに人を応援する歓びに目覚めたことで全力で誰かを助けることを職業にしたという動機付けは共感しやすく、物語に入っていきやすい要因となっています。 ただ、現代の保健師の仕事は非常に困難も多いであろうことが、さまざまなケースを読んでいて強く伝わってきます。 たとえば、子育て中の親御さんに対しては、子供に何かがあるという事実の指摘だけでも「自分に何か問題があって責められているのか?」というように感じられることが多いので、言い方に細心の注意を払わねばならないといったこと。「相手に何を伝えたかではなく『どう伝わったか』がすべて」というのは、保健師の仕事に限らずあらゆる場面で言えることだなあと他山の石となります。 対人間の仕事なので、マニュアルやセオリーが通じないパターンはいくらでもあります。しかし、そうした中でも 「誰一人取りこぼさない」 「予防で救える命を死なせない」 という上司の七海に教わった心構えの下で、ときに失敗をしながらも前に進んでいく一花を読者としても応援したくなります。 その人らしい生き方の支援をしていくという保健師の仕事のあり方を見てみたい方、埜納タオさんの素朴で温かな人間ドラマに触れたい方にお薦めです。
ソイ・ストーリー まんが家はタイの小路をゆく【タテスク】
まだまだ溢れるタイの魅力 #1巻応援
ソイ・ストーリー まんが家はタイの小路をゆく【タテスク】
兎来栄寿
兎来栄寿
『タイのひとびと』、『タイランドクエスト』の小林眞理子さんが、新たにタテスクコミックにて描くタイの実録エッセイマンガです。 前作までの魅力はそのままに、また新たににさまざまなタイの魅力を描いて届けてくれます。 小林眞理子さんのマンガは、読みやすいすっきりした絵柄でありながらも、異国の地であるタイの街並みや食べ物などは情報量濃く絵でしっかり描きこまれている絶妙なバランスが良いです。 1話で言えば水上バスが走る運河の様子であったり、夥しい電線の上を闊歩するリスであったり。同じアジアでも、景色の全然違うタイのありようはとても興味深いです。 iPadとApple Pencil片手に、そんな異国で悠々自適に執筆活動をしているさまを見ると「良いなぁ〜!」と思わされます。最近は円安で東南アジアから日本の方が物価が安いと遊びに来る話も聞きますが、タイやベトナムなどはまだ日本人的な感覚からするとリーズナブルに満喫できる場所で良いですよね。 私は東南アジアは行ったことがないですが、興味はあるので一度1〜2週間くらいゆっくり滞在してみたいです。そしてこの作品の中でたびたび描かれているような、タイの人々の温かさや大らかさに直に触れてみたいですね。 現在は単話ごとの購入ですが、5話の内3話までは無料で読めるのでそちらだけでも読んでみてください。タイにそこまで興味がないという方でも、単純なマンガの上手さと面白さで楽しめるのではないかと思います。
特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入
特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
ひさぴよ
https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。
結界師の一輪華
何もしないことで、蔑んできた奴らを見返す
結界師の一輪華
ゆゆゆ
ゆゆゆ
のはやめて、老後に備えて少し働きます。 少しだけ、少しだけですよ?! という始まりです。 考えたら、最初からフラグはたっていた。 いつも優秀な双子の姉と比較され、周囲からは残り滓だのなんだの言われ、両親も姉を贔屓し、能力が低いと虐げられてきた。  でも覚醒したら、めちゃ強。 能力も式神もめちゃ強。強いってもんじゃないくらい強い。 強いものが正義の世界なので、強いとわかれば皆手のひらクルン間違いなし。 覚醒を詳らかにすると思いきや、残念ながら覚醒したのは、家族に受け入れてもらいたいという願いが消え果てたあと。 全力で覚醒した能力を隠し、能力なんて関係ない普通の仕事に就いて、一人悠々自適な老後を過ごすことを目標にした。 なんて健気…と思ったところで、本家ご当主様の登場。 主人公の強さに気づいたのはご当主様ひとり。 当主母も力が弱くて気づかず、主人公家族も気づかず、学校はみんな学生だからか気づかず。 能力の弱い人が周りに多すぎて、この世界は大丈夫だろうかと不安になってくる。 さらに主人公がなぜ覚醒したかもわからない。 わからないことが多いけど、離婚条件がついに成立したと主人公が喜び、なんやかんやあったところで2巻終了。 気になるところは3巻以降にわかるんだろうか。 離婚条件の成立が想定外に早くかった。 こんなに早く終わる条件なら、主人公もノリノリで応じて、式神は騙されていると心配するよねえと得心してしまった。
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