たとえわたしに何の肩書きも才能さえもないとしても
ケモ耳美少女&美少年に釣られて読んだら、ちょっとほろ苦いけどひたすら爽やかな青春物語でした。 モテ男でアイドル的存在の花咲くん。彼が歩けば女子たちみんながついてくるのに、唯一靡かないのがクールな美尾さん。 みんなしっぽを染めたり盛ったりしているのに、美尾さんだけはしっぽを布で覆って隠している。そして花咲くんに対して「ズルをしている」と言い放つ。 そして文化祭の季節がやってきて……というストーリー。 動物の習性を利用したお話だけど、学校という閉ざされた世界もこんなもんかもしれないと思いました。 カテゴリーやポジションがなくなった自分を見せたとき、本気で笑ったり怒ったり愛してくれる人は果たしてどれくらいいるんでしょう。不安だからみんな取り繕って生きているんだと思います。 美尾さんや花咲くんのように気づいて変われる人は立派です。貫ける人は立派です。 自分はそうはなれないかも…って思いがよぎったけれど、世界は案外捨てたもんじゃない、ちゃんと見てくれる人はいるんだと素直に思えました。
主人公の花咲は、自分のフェロモン体質に気づかず生きてきたせいで、実態のない自信をうず高く築いてきた自己肯定感爆高オトコで「みんな僕だよ〜」とか言っちゃうやつ。一方、唯一花咲に靡かないクールな女子・美尾さんは自覚のあるフェロモン体質で、無自覚にフェロモンを利用して生きている花咲に対して冷ややかで…というあらすじ。
フェロモンのせいで挫折を知らない無菌室育ちだからか花咲はメチャクチャ素直で、フェロモンに頼らず頑張って終わりという真っ直ぐな展開に違和感なかったし、それがまたピュアな感じで良かった。
あとビジュアルもかの有名なケモ階段表でいうと、ケモ度1.4って感じの獣人ですごく良かったです(マズル&毛なしだけど、鼻はケモ)。