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性別「モナリザ」の君へ。

男性・女性・無性別、それぞれの目線で恋愛感情を因数分解していく作品

性別「モナリザ」の君へ。 吉村旋
sogor25
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1巻で物語の設定と主要キャラ3人の関係性について描き、2巻では3人のキャラクターの感情の表現を深めていく。しおりとりつは男性・女性の目線で好きの感情を、ひなせはそのどちらでもない位置からの2人への感情を因数分解していく。その感情の掘り下げ方が凄く丁寧。 しおりとりつの2人は「ひなせの性別を決めさせる」という大きな目的がある分、より性差を強調した感情の表現を見せる。一方のひなせは、無性別という立ち位置ながら、中庸ではなく両性を持ち合わせたような感情を見せる。本人たちにそこまでの自覚がなくて戸惑いを見せる所も含めて実に面白い。 後天的に性別を選択できる世界を扱った作品としては最近では「境界のないセカイ」「選択のトキ」などもあったけど、今作は性選択≒恋愛対象の選択という意味合いが強くて、性別と恋愛感情というところに強くフォーカスしている印象がある。その上で、(ゼロではないけれども)安易に性愛の話に持っていかずに、性別と感情の結びつきに重点を置いてモノローグが展開している。その辺りが革新的でもあり、自身の感情を重ね合わせての考察が捗る。 ミクロでこの作品を見ていくとこういう感じなんだけど、物語をマクロで見ていくと突然「無性別のまま20歳を迎えた人間は存在しない」という新たなテーマが出現する。2巻の展開で、実はPSYCHO-PASS的なディストピアっぽい裏設定が隠れているのかもしれないと想起もさせる。3人の関係性も含めてまだまだ作品の底は見えない。 2巻まで読了。

不揃いの連理

タイトルから見る"伴侶"の形

不揃いの連理
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回

せいべつもなりざのきみへ
【デジタル版限定特典付き】性別「モナリザ」の君へ。 1巻
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