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世界は小さな「バグ」に満ちていて、ほんのささいな掛け違いで崩壊してしまう危ういバランスの上に成り立っている――。ごく普通の中学生「田植みずほ」は、ある日唐突に神様に選ばれて世界の崩壊を引き起こすバグから世界を守る役目を課されることになってしまう。けれどもそう簡単に崩壊が止められれば苦労はしない。前触れなく理不尽に発動するバグ、謎過ぎる発動条件の数々、そしてまったく頼りにならない神様の使い・アプカ。みずほはアプカの力を借りてタイムリープを繰り返し、なんとか世界を守ろうとするけれど……?笑いと涙とトンデモが怒涛の如く交錯する中学生みずほの明日はどっちだ。世界は本当に守られるのか? 不憫なみずほの救世がんばりコメディ、始まります。
『おかか』や『骸積みのボルテ』のまつだこうたさんが原作を、『わたしのカイロス』や『コーヒーカンタータ』のからあげたろうさんが作画を担当する作品です。
お二方とも好きなので良いコラボレーションだなぁと嬉しさを覚えながら読み始めたら、なかなかにぶっ飛んでいてある意味期待通りの作品でした。
『時をかける少女』、『時間の歩き方』、『片翼のラビリンス』etc...
主人公が思春期の女の子の時間遡行ループ系物語は、往々にして面白い作品が多いです。
本作は、様々なバグによりすぐに崩壊する世界に対して、干渉が可能な唯一の存在である女子中学生みずほが何度も時間を巻き戻しながら世界崩壊の引き金となるバグたる事象を改変していくというのが大まかな筋です。
ただ、そのバグの原因となるものがかなり卑近であることも多々。例えば第1話ではおじさんが電車に乗ることであったり、他の話ではスマホで自撮りをすることであったり。それらを、硬軟さまざまな手段で再現しないよう対処していきます。やっていることは岡部倫太郎なのですが、雰囲気としては非常にコミカルに進行していきカジュアルに世界が崩壊し続けます。
4月に発売される『SFマガジン』では「藤子・F・不二雄のSF短編」特集が行われるそうですが、まさに藤子さんのとある短編を髣髴とさせるような1話も。「すこしふしぎ」感をゆるく楽しく味わえます。
何しろからあげたろうさんの絵がかわいらしく、みずほの表情もとてもとても豊かで魅力的。第6話などは一番純粋なかわいさが出ていて、好きなお話です。
まずは1話試し読みをしてみてください。そこで気に入れば間違いない作品です。