紙版で欲しくなる神装丁
トーチwebで連載されているこの作品、また素晴らしい才能が出てきたな、と思いました。 生活能力が低い人が、生活保護特区トーキョーに強制的に収容されて共同で暮らしていく世界を描いた作品です。 若干のマンガ的な嘘こそあれ、この作品で描かれる人間たちの姿は現代を生きる私たちと地続きで、そこで生じる葛藤や不条理は単なるファンタジーや他人事とは到底思えない迫力があります。 1,2巻が同時発売された本作ですが、私がこの作品を強く推したい理由は、2巻に集約しています。特に2巻収録の6話や9,10話はたまりません。「生活保護」という単語によって引っ張られてしまうかもしれませんが、それを超えた普遍的な文学性が存在します。様子見で1巻だけ買ってみようかな、と思う方もいるかもしれませんが、『生活保護特区を出よ。』は1,2巻を同時に買って一気に読んで欲しいと強く願います。 そして、何より本の装丁が凄いのです。2022年ベストに選ばれてもまったくおかしくない、素晴らしい仕事です。 装丁を担当した鈴木哲生さんによると、昨今の紙の値上げにより用紙の原価を押さえねばならないという事情があったのを逆手に取り、 「『特区』の環境を想定すると AdobeCC 不使用で作るのがいい」 として、 「本屋に並ぶような本を作る設備のない(特区の)環境」 で、特区の中にいる人が実際に作り得るような本として作られているそうなのです。普段は電子派という方も、もし書店に行く機会がありましたら実物を手に取ってみていただきたいです。
すごく気になった!タイトルの生活保護特区。
なんとなくの予想で、現代でリアルに生活保護を受けている人達の集落というか保護区みたいなエリアの話かな?って。
外れてはないし大まかに合っていた。
そこでの人間模様や登場人物が抱える背景があるが故の考え方など、
理解出来ないと一言で斬ることは出来ず、物語を読んでいくと感情移入が止まらなくなる。
続きが気になります!