あらすじ

特区を離れがたいフーカの気持ちとは裏腹に、大切な人たちは様々な形で“ここ”を去ろうと試みる。祖父・開花(かいか)が本土に戻らなかった理由、そしてウラミの孤独が明かされる時、フーカの中にある決意が生まれ…… 【生活保護特区】生活能力に乏しく自立困難な者を国が保護する区画。俗称マントラアーヤ。この国の“もうひとつの姿”を圧倒的リアリティで描く話題作!! ★宝島社『このマンガがすごい!2023』オトコ編 第11位ランクイン作品
生活保護特区を出よ。 1巻

1945年、大きな戦争により荒廃した日本は福祉と治安維持のため二つの政策を行った。一つは東京を復興し「新都トーキョー」をつくること。もう一つは、能力不振や病気、障害等により自立困難な者に国が衣食住、生活を保障する「生活保護特区」(俗称マントラアーヤ)を制定すること。2018年、トーキョーの中流家庭で育った高校生のフーカは、落ちこぼれながらも平凡な日常を送っていた。ところがある日、彼女の元に「特区通知」が届く。この国で何となく生き、何となく幸せになれると思い込んでいた彼女にとって、それは青天の霹靂だった―― 突如、生活保護特区に単身移住することになったフーカは、その想像を絶する状況に戸惑い、困惑する。そして居住者たちとの共同生活が彼女を思いがけない道へ誘い込み……

生活保護特区を出よ。 2巻

死ぬ人も……いるんだろう、当然。見てください。来てください。神様が本当に居るなら、見て、来て、何を思うだろう。何にもすがれず、生きることを少しずつ諦める人たちを助けてあげようとするんだろうか。非力な腕の精一杯で。ウラミ放送局での仕事を得たフーカは特区での生活に徐々に馴染んでいく。しかし、隣人たちに寄り添うほどに見えてくる「現実」は、フーカに“ある迷い”をもたらし…… 貧困、差別、格差をめぐる癒しと革命の物語。■作品解説:ハリジャンぴらの(社会福祉士・精神保健福祉士/青木ヶ原樹海探索者) ※トーチwebで全文公開

生活保護特区を出よ。 3巻

最高潮を迎える「日の出祭り」。隣人たちに寄り添い寄り添われるほど、フーカは特区(ここ)を去りがたく…… 貧困・差別・格差……この国の“もうひとつの姿”を圧倒的リアリティで描く癒しと革命の物語。【生活保護特区】生活能力に乏しく自立困難な者を国が保護する区画。俗称マントラアーヤ。★宝島社『このマンガがすごい!2023』オトコ編 第11位ランクイン作品

生活保護特区を出よ。 4巻

特区を離れがたいフーカの気持ちとは裏腹に、大切な人たちは様々な形で“ここ”を去ろうと試みる。祖父・開花(かいか)が本土に戻らなかった理由、そしてウラミの孤独が明かされる時、フーカの中にある決意が生まれ…… 【生活保護特区】生活能力に乏しく自立困難な者を国が保護する区画。俗称マントラアーヤ。この国の“もうひとつの姿”を圧倒的リアリティで描く話題作!! ★宝島社『このマンガがすごい!2023』オトコ編 第11位ランクイン作品

生活保護特区を出よ。

紙版で欲しくなる神装丁

生活保護特区を出よ。 まどめクレテック
兎来栄寿
兎来栄寿

トーチwebで連載されているこの作品、また素晴らしい才能が出てきたな、と思いました。 生活能力が低い人が、生活保護特区トーキョーに強制的に収容されて共同で暮らしていく世界を描いた作品です。 若干のマンガ的な嘘こそあれ、この作品で描かれる人間たちの姿は現代を生きる私たちと地続きで、そこで生じる葛藤や不条理は単なるファンタジーや他人事とは到底思えない迫力があります。 1,2巻が同時発売された本作ですが、私がこの作品を強く推したい理由は、2巻に集約しています。特に2巻収録の6話や9,10話はたまりません。「生活保護」という単語によって引っ張られてしまうかもしれませんが、それを超えた普遍的な文学性が存在します。様子見で1巻だけ買ってみようかな、と思う方もいるかもしれませんが、『生活保護特区を出よ。』は1,2巻を同時に買って一気に読んで欲しいと強く願います。 そして、何より本の装丁が凄いのです。2022年ベストに選ばれてもまったくおかしくない、素晴らしい仕事です。 装丁を担当した鈴木哲生さんによると、昨今の紙の値上げにより用紙の原価を押さえねばならないという事情があったのを逆手に取り、 「『特区』の環境を想定すると AdobeCC 不使用で作るのがいい」 として、 「本屋に並ぶような本を作る設備のない(特区の)環境」 で、特区の中にいる人が実際に作り得るような本として作られているそうなのです。普段は電子派という方も、もし書店に行く機会がありましたら実物を手に取ってみていただきたいです。