少しだけ、遠い世界の物語。
80年代の東欧、今は無きヨーロッパの社会主義国を舞台にした作品ですが、時代の空気感や社会というものが巧みに描かれていると読了後に感じられました。 ドラゴンが登場するファンタジーというと中世をイメージすることが多いのですが、作中はまだ冷戦下であり、「今」ではない社会、非日常とリアルとの間に独特の距離感を与えてくれています。そして、そのことがこの作品に柔らかな幻想感と優しいフレーバーを与えてくれているのではないかと思います。 主人公のののちゃんは美大の留学生であり、異国で新生活をスタートしたばかり。そこで出会ったのはドラゴン(?)のとかげちゃん。 一人と一匹が過ごす毎日は、ここではないどこか、我々の今住んでいる場所から少しだけ離れていて、どこか懐かしく、温かみを感じます。 パソコンもスマホも無い日常。それは数十年前の現代であり、決して遠い昔の物語ではない。そんな風景を思い出させてくれる、ちょっとだけ離れたファンタジーの佳作であると思います。
現実っぽいけど、どことなくファンタジーな世界。
日本ではないからと言って、まさか転がっていた卵っぽいものから生まれてくるのがドラゴン!!
最初はトカゲぐらいのサイズで一緒に暮らしていけるだろうけど、このまま大きくなったらどうするのだろう。
人に危害を加えないといわれても、保証がない事には周りは納得しないだろうからどう説得するか、みんなが幸せに暮らせるように対処できればいいな。