1980年代、東欧。日本人留学生・ののが買ってきた卵から孵化したのは、トカゲのような生き物。成長するにつれて、伝説のドラゴンに近づいていき…。一人と一匹が暮らす、欧州舞台日常ファンタジー。
東欧のとある国。日本人留学生のののと、彼女がたまたま手に入れた卵から孵ったトカゲちゃん。トカゲちゃんは成長するにつれて、伝説の存在“ドラク”にそっくりになっていく。そして存在を知られてはいけない秘密の生活に、様々な異変が…。
トカゲちゃんはあっという間に成長していき、伝説のドラクそのものの姿に。もはや家の中では隠し切れず、山の中で過ごさせるが、公的機関に目撃され……。
山間で大きくなったドラゴンを育てるのの。一方で、国の改革が始まり、情勢は悪化。留学生であるののは、家を追い出されてしまう。そんな中、ドラゴンの様子に変化が訪れ…。
現実っぽいけど、どことなくファンタジーな世界。 日本ではないからと言って、まさか転がっていた卵っぽいものから生まれてくるのがドラゴン!! 最初はトカゲぐらいのサイズで一緒に暮らしていけるだろうけど、このまま大きくなったらどうするのだろう。 人に危害を加えないといわれても、保証がない事には周りは納得しないだろうからどう説得するか、みんなが幸せに暮らせるように対処できればいいな。
80年代の東欧、今は無きヨーロッパの社会主義国を舞台にした作品ですが、時代の空気感や社会というものが巧みに描かれていると読了後に感じられました。 ドラゴンが登場するファンタジーというと中世をイメージすることが多いのですが、作中はまだ冷戦下であり、「今」ではない社会、非日常とリアルとの間に独特の距離感を与えてくれています。そして、そのことがこの作品に柔らかな幻想感と優しいフレーバーを与えてくれているのではないかと思います。 主人公のののちゃんは美大の留学生であり、異国で新生活をスタートしたばかり。そこで出会ったのはドラゴン(?)のとかげちゃん。 一人と一匹が過ごす毎日は、ここではないどこか、我々の今住んでいる場所から少しだけ離れていて、どこか懐かしく、温かみを感じます。 パソコンもスマホも無い日常。それは数十年前の現代であり、決して遠い昔の物語ではない。そんな風景を思い出させてくれる、ちょっとだけ離れたファンタジーの佳作であると思います。
現実っぽいけど、どことなくファンタジーな世界。 日本ではないからと言って、まさか転がっていた卵っぽいものから生まれてくるのがドラゴン!! 最初はトカゲぐらいのサイズで一緒に暮らしていけるだろうけど、このまま大きくなったらどうするのだろう。 人に危害を加えないといわれても、保証がない事には周りは納得しないだろうからどう説得するか、みんなが幸せに暮らせるように対処できればいいな。