人は死後、煉獄での裁判ののち天使が管理する天国と悪魔が仕切る地獄に送られて暮らすという設定を令和にアップデートするとこうなるのか!!という嬉しい驚きがありました。

家族とともに何者かに惨殺された少年ダンテが自身に秘められた謎と事件の真相を求め、地獄の悪魔ヴィーナスとともに復讐に動き出す…という筋書き自体はシンプルですが、とにかく次々登場するキャラクターたちが魅力的。地獄や天国のビジュアルとダンテの秘密をめぐる人物の動き、どちらも海外ドラマっぽいリッチさがあって引き込まれます。
今っぽさと懐かしさが両方感じられる軽妙なやり取りのおかげで気分が重くなりすぎずに読めるのも嬉しいです。絵も抜群にうまくて人物の表情で魅せるレイアウトがツボでした(特に1話!)

ダンテを取り巻く陰謀の規模の大きさが匂わされるまでが1巻。ここで読むのやめられる人がいたらすごいなと思う区切りでした。
ダークファンタジー好きな方は要チェックの作品だと思います!

読みたい
エロイーズ 本当のワタシを探して

物語の始まりのシーンが好き

エロイーズ 本当のワタシを探して
ANAGUMA
ANAGUMA

本作、ベンチに座っていたエロイーズがふと記憶喪失になっていたことに気付くシーンから始まるのですが、その自然さがなんだか巧みで、ピンク色のカラートーンとともに強く印象に残っています。 メインとなるストーリーラインはサブタイトルにもある「本当のワタシ」探し。 少ない手がかりを元に記憶を失う前の自分がどんな人間だったのかを調べていく…と書くと壮大なミステリーやサスペンスのようでもありますが、そうそう大変なことが起こるわけでもないのが人生というものかもしれません。 どこにでも居る女性だった(と思われる)エロイーズ・パンソンの身の回りも、世の人のご多分に漏れずありふれた出来事ばかりだったようで、一生懸命過去の自分の身辺調査を行うほどに些細でちっぽけなことばかりが判明していきます。そのようすは親近感やおかしみと同時に、どこか空虚さというか、切なさも感じさせたり…。 「記憶を失う前の自分ってどんな人間だった?」というのを入り口に「そもそも根本的に自分ってどんな人間なんだろう?」という二重の意味で「本当のワタシ」を探すことになるのが妙味です。 そんな深いテーマもありつつ、バンドデシネとしてはかなり読みやすい部類に入ると思います。エロイーズのちょっとした仕草がどれもかわいかったり、普段縁遠いフランスでの「フツーの」暮らしが垣間見えるだけでも面白いので、読む機会があれば気軽に手に取ってみてほしい一作です。

本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
ルビー・オンザ・ケーキ ―人喰い魔女の晩餐会―

ルビー・オンザ・ケーキ ―人喰い魔女の晩餐会―

ロンドンには男性のみを好んで襲う人型の怪物――【魔女】が住む。これを駆除する秘密組織REDに所属するルビー・ブラッドは若き「魔女狩り」の天才と言われているが食べることと家族が大好きな普通の女の子で、父親が作るディナーが毎日の楽しみ! しかしクリスマスの夜に彼女の運命は一変する……。食うか喰われるかのガールズサスペンス、開幕!!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。※

旅する海とアトリエ

旅する海とアトリエ

今は亡き両親が名付けた「海」という名前の由来となった海の景色を探して、生まれて初めて、ひとりで海外旅行でポルトガルに来た七瀬海。ポルトガルで出会った画家の少女・安藤りえと一緒に「海」を求めて世界を旅していく中で、ふたりが出会うものとは…?『今宵もサルーテ!』(艦これコミカライズ)も大好評の森永ミキ初のオリジナル作品、第1巻は「ポルトガル・スペイン・イタリア」の3か国を巡ります! 一緒に世界を旅しませんか?

新時代の悪魔と天使の物語 #1巻応援にコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。