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自分をいじめから救ってくれた同性の先輩・礼央を慕う可憐な少女・茗子。いつしかその想いは強い独占欲に変質していく。自分の感情に戸惑いながらも日々を過ごしていたそんなある日、茗子は暴漢に犯されてしまう。彼女を守れなかったことに責任を感じる礼央。その罪悪感を利用して、茗子は礼央を束縛し始める。周囲からすれば異常な関係。しかしそんな茗子を見て、礼央は誓う。「奴隷になる」ことを。彼女のいつ癒えるともしれない傷を自分の痛みとして。オール描き下ろしで贈る、少女二人の恋の限界を探る愛憎劇。
性犯罪はどうしたって、被害者や当事者を苦しみで縛る。本作でも強姦された女子と、彼女を守れなかった先輩女子の苦悩が描かれるが、強姦という事実は描かれる以上の重さでのしかかると感じた。
守ってくれれなかった先輩を責める事で「奴隷」とする女子と、罪の意識でそれを受け入れる先輩。その関係性は袋小路で、解決しようの無い息苦しさがある。
しかしこの作品で凄いのは、強姦を起点に女性二人の関係性を突き詰める事で、強姦した男の影を薄めてゆく点にある。
本当に苦しい作品だが、女の絆を強固にする事で暴力的な「男」をページの外に消失させるこの作品、ある意味本当に〈百合の力〉への信頼で出来ている作品だ。
(この作品には「完全版」というのもあります。私は追加エピソードがある完全版の方を読んだのですが、現在電子書籍化しているのは無印版なので、こちらにクチコミを書きます)