2年の関東大会、中山畜産戦。
県大会成績のプリントミスを利用し、0割5分打者を
6割打者に見せたり、短気な里中を揺さぶって2点を奪う。
更には変則フォーム投手で明訓打線を封じ、真のエース
三塁で温存、最後は肩を負傷した四番が代打でホームランと
意外性と正攻法が嚙み合った面白い試合でした。

……只、これ以降は凡戦ばかりで力尽きた感があるのは、
水島先生の心は既に大甲子園に飛んでいたんだろうなあ。

2年夏の白新戦。
超遅球を身に付け、山田を完璧に封じる不知火。
付け入るスキがないと思いきやの延長10回、明訓の攻撃。
伝説とも言える『ルールブックの盲点』からの得点。
今でも高校野球で類似のケースがあると必ず引き合いに
出されるほどです。
 

水島野球漫画といえば「一球さん」もお勧め
します。 中でも「巨人学園 対 弁強高校戦」
これがなかなか示唆に富んだ名勝負なのです。

名門巨人学園の一軍レギュラー全員が 食中毒に
かかって出場できなくなり、巨人学園は二軍と
野球をまだよく知らない一球さんだけとなる。
一方の弁強学園は 勉強ばかりの進学校で、頭は
良いが弱小チーム。
という訳で、変な意味で互角の戦いとなる。

が、巨人学園はリードされて9回裏2アウトまで
来てしまう。
ここで弁強高校は 名門校を破って初勝利という
ことで 緊張でガチガチになっていく。
対する巨人学園も 弱小校に初戦で敗れては恥だと
こちらもガチガチに。
両校選手監督みんなガチガチの石になっていくのだ。

そんな中、只一人ガチガチにならないのが一球さん!
自然体を貫き、皆に喝!を与えながらリラックス
させていく。
一方の弁強高校は 石のままでエラーが相次ぎ、逆転
されてしまうのだった。
選手が土壇場で石になっていく、この思い切った描写
での試合展開の面白さは マンガ史に残ると思います。

また、そもそも主力選手全員が食中毒で出れないなんて
何という設定なのだ、これは有り得ないだろうと思って
いました。
しかし、最近のコロナ禍で 陽性者続出となれば、起り
得る話になってきます。 そんなとんでもない事態をも
水島作品は描いていたのかと思うのです。

草野球チームの現場から直に伝わる感性が、マンガに
生きている、改めて水島野球漫画偉大なりと思います。

ドカベン

なぜ今までドカベンを読まなかったのか?

ドカベン 水島新司
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男

基本的には水島新司のマンガは好きだが「ドカベン」「大甲子園」に絡むマンガは読んでいなかった。水島新司のマンガは好きなので「いただきヤスベエ」「銭っ子」「父ちゃんの王将」「たちまち晴太」あたりは読んだし、「朝子の野球日記」「平成野球草子」、理解はあまりできていなかったが「ドカベン プロ野球編」「ドカベン スーパースターズ編」「ドカベン ドリームトーナメント編」はリアルタイムで読んでいた。「あぶさん」に至っては1990年代前半からずっと読んでいて、あぶさんがシーズンオフに行く温泉の回で季節を感じるくらい生活に密着していた。 ただ「ドカベン」「大甲子園」に絡むのだけは読んでいなかった理由ははっきりしていて小学校の同級生で水島新司のマンガがすごい好きな奴がいて、「ドカベン」「大甲子園」の話とファミコンで発売していた「水島新司の大甲子園」の試合結果を毎日のように聞かされなかなかきつかったのでドカベンに対してあんまり良い印象をもてなかったのが原因だと思う で今回「ドカベン」を読み始めていますが柔道編はともかく確かに31巻まで読むと名作と言われるだけのことはある面白さだった

ドカベン

だから野球マンガは面白い!

ドカベン 水島新司
影絵が趣味
影絵が趣味

当初は柔道マンガとして始まり、いくつものシリーズを経由しながら、ひじょうに長い年月を経て、とうとう『ドカベン』に終止符が打たれた。最終巻の最終話では、第一巻の第一話における山田と岩鬼の出会いをそのまま回想としてなぞり、このあまりにシンプルでありながら、これしかないという演出には言うにいわれぬ感慨を憶えたものだった。 『大甲子園』を含めたドカベンシリーズの本流だけで全205巻。それ以外の支流からドカベンシリーズの本流に合流してきたものを合わせれば300巻に迫る勢いである。じつは、こち亀の200巻の記録をゆうに超えてしまっているのだ。 この途方もない事態は、おそらく『ドカベン』にのみ関わるものではない。すべての野球マンガに、野球マンガというジャンルに関わるものであると思う。マンガには様々なジャンルがあるが、そのなかでも野球マンガというジャンルは、マンガという体系に対して、ある特権的な位置を占めていると思うのだ。これはハリウッドが西部劇というジャンルとともに映画産業を発展させてきたのとよく似ているような気がする。すなわち、ここでは映画が西部劇を撮るのではなく、西部劇という土壌が映画を撮らせているというある種の逆転現象が起きている。映画においてもっとも重要な光線の処理の問題、これをハリウッドはその近郊の年中天候の変わりにくい荒涼地帯で西部劇を撮ることで解決してきたのだ。天候がほいほい変わればそのたびに撮影を中断せねばならないが、西部劇ならばそんな心配はしないでどんどん撮影をすすめ、作品を量産することができる。つまり、こうした西部劇の量産で興行した潤沢な資金を次の撮影にまた注ぎ込むというサイクルがハリウッドにはできていたということだ。 では、マンガはどうかといえば、マンガ制作に天候はあまり関係がなさそうだが、やはり手塚治虫の登場いらい体系の整えられてきたコマと記号の処理という問題が"大友以降"のマンガにおいても頭をもたげてやまないはずなのだ。というより、マンガにおける諸問題はコマをいかに処理し、記号をいかに処理するかに集約されるはずだ。あれだけマンガというものに抗ってみせた『スラムダンク』の井上雄彦もけっきょくはコマからは逃れられないし、記号には頼らざるを得ないところがあった。そもそも井上がマンガに抗わざるを得なかったのはマンガ家という身分でありながらバスケが好きだったという不幸に由来する。マンガでバスケの動きをどう表現するか、それは文字通りマンガへの過酷な抵抗であったことだろう。『スラムダンク』の美しさは、このマンガへの過酷な抵抗と山王への果敢な挑戦がダブるところに集約されるだろう。ただ、あくまでも井上に許されていたのはマンガへの飽くなき抵抗という姿勢までで勝利ではなかった、だからこそ湘北が山王に奇跡のような勝利をおさめたときに連載を止めねばならなかったのだ。その点で、マンガは野球に愛されていると言わざるを得ない。愛に守られてスクスクと育ち、野球マンガに特有の素晴らしき楽天性でもって『スラムダンク』とはまたちがった豊かさを随所で花開かせている。そのことは近年ますます豊饒となった野球マンガのひとつ『おおきく振りかぶって』にもよく描かれている。すなわち、打者のほとんどが打ち上げてしまう三橋くんのまっすぐ、打者はボールの運動をじっさいに目で正確に追っているのではなく、その軌道を経験的な記号として捉えてバットを振っている、と。このことは野球を外からみる側にもいえる。投手が構えて、ボールが投げられる、打者が構えて、バットが振られる、この一連の運動を隈なく目で追っているひとなどいないはずなのだ。わたしたちが見ているのは、投手が構えて、次の瞬間には、構えていた打者がスイングし終えていて、マウンドの投手はまるでバレエでも踊るみたいな不可思議な格好になっている。この野球をみるときの呼吸はマンガの呼吸とぴったり合いはしないだろうか。コマからコマのあいだの欠落を敢えて埋めようとはしなくてもマンガは野球を経済的に語る術をはじめから心得ていた。つまり野球マンガは、あるいはバスケマンガのように、マンガそのものに抵抗する必要があらかじめなかった。この追い風を受けてマンガは野球という物語を幾重にも変奏して量産することができたのではないかと思うのだ。

あぶさん 球けがれなく道けわし

あぶさん 球けがれなく道けわし

野球コミックの巨匠・水島新司が遺した作品の中で 今まで一度も単行本に収録されていない 幻の作品を発掘して一冊にまとめた「野球文化遺産」。 絶筆となる「あぶさん~球けがれなく道けわし~」ほか 5編を収録。全世界の野球漫画を愛する読者に 送る必読の一冊です。 【編集担当からのおすすめ情報】 野球漫画のレジェンド・水島新司氏が 一本一本魂をこめて紡いだ単行本未収録作品集です。

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おはようKジロー

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千葉県の私立冠学園高校に入学した少年、岡本慶司郎(通称:Kジロー)は、甲子園出場を夢見て、野球部入部を希望する。しかし、野球部は3年前に廃部していた。落ち込むKジローだったが、すぐに立ち直り、野球部の復活へ向けて、部員の募集を開始した。当初はそんなKジローを冷ややかに見ていた生徒たちだったが、Kジローの人柄に打たれ、一人また一人と入部者が増えていった。そして、ついにKジローたち冠学園ナインは、甲子園への第一歩として、千葉県大会に出場を果たしたのだった。

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ドラフトがなんだ、プロ選手三原心平誕生!無名の高校生・三原心平は、唯一自分の力を認めてくれた大阪ガメッツのスカウト海老手さんを、口説きに、口説いて、どうにかガメッツ入団に成功したのだが…。

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あぶさん〜球けがれなく道けわし〜

あぶさん〜球けがれなく道けわし〜

水島新司 画業60周年記念作品 ホークスひと筋の酒仙打者、景浦安武。通称「あぶさん」。夏の甲子園が100回を迎えるこの夏、景浦安武はノックバットを杖がわりにする”長老”と出会った─────。野球を愛してやまない巨匠が描く「真夏+白球」の読み切り作品登場!!(ビッグコミックオリジナル2018年16号)

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