生命力を感じる漫画
すごいタイトルですけど、1巻表紙の女の子は本作の主人公・チコちゃんで、4巻の表紙にいるのがトモちゃんです。 どうしてこのタイトルにしたのかは、はっきり描かれてません。ただひとつ言えることは、トモちゃんの見た目は個性的だけど中身は優しさで満ちている。もしもトモちゃんがチコちゃんのところに来なかったら、チコちゃんは、車谷は、陽介先生は、アントニオ、アンソニー、ジュンユ、ミミちゃん、鯛造くん、みんなどうなっていたろうかと考えてしまう。心に澱を溜めたまま、死んだように生きるか、生きるのをやめていたか。どちらかのような気がする。 でもトモちゃんがみんなを幸せにしたのではなく、何かのきっかけで動いたものがいろんなところにぶつかって、欠けたりひび割れたりしながらも、本来の輝きを取り戻きていく、という話なのかなー、と書いてて思いました。
ある意味タイトルの通りと言いますか、トモちゃんは顔立ちも頭身も他の人物とは明らかに違うものとして描かれています。
そんな見た目のトモちゃんですが、あっという間に周囲に溶け込んで生きる気力すらもなくしていたチコちゃんの世界を広げていきます。
トモちゃんは主人公を成長させるためのある意味ドラえもんみたいな存在なんだろうなあ、それ故の見た目なのかなと思っていたのですが、そんな単純なキャラクターではなかったです。
優しくて愛情深くて、チコちゃんや車谷や陽介先生と同じように心に傷を負った人間でした。
チコちゃんが成長すればするほど、幸せになるのを恐れているようなトモちゃんが見えてきます。
物語を追っていくうちに、チコちゃんを見守ってあげてねという気持ちから、チコちゃんはもう大丈夫だからどうかトモちゃんが幸せになってと祈るような気持ちに変化していきました。
最後の陽介先生の言葉が全てです。何度読んでも最後で泣いちゃうんだなあ…。
どんなに壊れていても、傷ついていても、人間はいつだってやり直せるし幸せになれるんだと教えてくれるような作品でした。