オーケストラって面白い!
クラシック自体ほとんど知らず、無論オーケストラについても触れずに生きてきましたが、なんと面白いことか。それぞれの楽器の個性や、その奏者の個性、楽曲との向き合い方まで、そういうことだったのか!と。情熱大陸あたりに登場するピアニストや指揮者が語ることもよくわからんなと思ってましたが、本作を読んだ後であれば、違った感じ方ができそう。楽器始めたくなります。おすすめです。
不況で日本屈指の交響楽団が解散!食い詰めた連中が謎のジジイ、天道のもとに再結集。これは、身も心も音楽に捧げた者たちが、極上の「運命」と「未完成」を奏でる物語である。手塚治虫文化賞に輝いた傑作『神童』につづく、感動の音楽漫画です。
『神童』とそれに続く『マエストロ』で、文字通り音楽漫画のマエストロになったさそうあきらですが、長年に渡り疑問に思っていたことがあります。さそうあきらを筆頭に『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子や『BECK』のハロルド作石らの描く音楽漫画はどうしてここまでひとの心を打つのか、ということについてです、肝心の音楽は実際には耳に聴こえないのにもかかわらず。
この謎をひとつ解き明かしてみようではないか、ということで、数年ぶりに『マエストロ』を読み返してはみたものの、まあ、最後のコンサートではボロボロに泣いてしまったんですけど、謎は謎のまま残ってしまいました。
ただ、ちょっとヒントになりそうな台詞が作中にありました。
「音楽って切ないね」
「今確かに美しいものがあったって思っても、次の瞬間には消えてしまうんだ」
「川の、流れのように―――」
「だからこそ、愛おしい―――」
「大切に思うんだ」
つまり、音楽は音楽を聴いている時間にしか存在しないけれども、マンガもマンガを読んでいる時間にしか存在しないということ。この不可逆性、このマンガというコマのうねりと連なりをひとつびとつ読んでゆくことの幸せを今日も逃すことなく噛み締めようと思う次第なのでありました。