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マイ・ブロークン・マリコ
マッチョレディの皮を着た銭形警部
マイ・ブロークン・マリコ 平庫ワカ
SS
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彗星の如く現れ、2020年〜21年に多くの賞も受賞した名作。話題になっているのは知っていたけど偏屈オタクは『私が読まなくても他の人が読むもの…』と謎のツンを発揮し読んでませんでした。周りの熱もだいぶ落ち着いたようなのでそろそろ頃合いか…と手に取りました。 絶賛されているコメントはたくさんあるので、ちょっと違うところで感想を述べると『ゆる△キャンとかは外見が女子高生で中身はおじさんだけど、マイブロークンマリコのトモヨは外見一般社会人女子だけど中身は銭形警部(ルパン)やな』という感覚でした。 明らかに世の一般社会人女子が行うには難易度の高い言葉遣いと行動力、もろもろ非常にマッチョ。(でも心の柔らかいところはあるの)という人間性で、なんだろう…見たことがあ…ぜ!銭形警部だ!!とハッとしました。(※個人的見解です) 友人の死や毒親のような重めのテーマを扱っているのに、強靭にしなる折れない刃のような芯の強い心臓を持つ主人公なので、暗く落ちすぎない快活な喉ごし。女性像としては非現実で、これまでの女性誌では産まれなかったであろう人物像だと思います。だがそこがいい、というところまで持っていけたのが今作の成功点で活劇的な描き方がその切れ味をあげています。 『少女漫画の皮を被った少年漫画ハートなちはやふる』『ヤンキー漫画と見せつつイケメン盛り盛り女性も食べられます東京卍リベンジャーズ』とか、アレンジを効かせたミックス感のある漫画が人気になる傾向が強く感じてますが、これもその一つかなと。 既存の枠を越境し、いろんな人がいろんな漫画を読むようになった今だからこそ、こういった作品がしっかり評価される環境になったのだろうなと思います。この調子でブランニューな漫画がどんどん増えると嬉しいな!日本の漫画はまだまだ伸びしろですね!!
嘘とか恋とか
編集者はなぜ希望部署に行けないのか #1巻応援
嘘とか恋とか
兎来栄寿
兎来栄寿
女性向けファッション誌の編集部で日々激務をこなす緒野ひよりが主人公の本作。 いきなり枝葉の話なんですが、主人公が読んでいて非常にかわいそうなんですよ。メインの恋愛面ではなく、サイドの仕事面において。 ひよりは文芸志望で出版社に入ったもののまったく畑違いのファッション誌に配属されて、 「こんなところにいたって誰かの心を動かす仕事なんて出来るはずもない」 と思いながら仕事をしているんです。こんな悲しいことがあるでしょうか。 私が受け持っている連載の「となりのマンガ編集部」の取材やそれ以外でも、「本当はマンガ志望ではなかった」あるいは「本当はマンガ編集になりたかった」「マンガ編集にはなれたけど希望する雑誌ではなかった」という方に数多くお会いしてきました。結果的に上手くいっているパターンも多いですし、たとえば伝説の編集者である壁村氏なども元々マンガなど一切読まなかったといいます。ただ、それらは生存バイアスでしかないとも言えるかもしれません。 何十年も昔からずっとこのシステムが続いているのは、個人的にはすごく不思議です。どう考えても自分の好き・得意を活かせる部署に行ってもらった方が三方よしではないでしょうか。 作中で、編集長が主人公に ″文芸も女性誌も全くの別物ってわけじゃあないの 目の前の読者のために作るのは同じ 一度本気でやってみたらきっと面白さもわかるわ″ と諭す良いシーンがあり、また思い人にも ″きっかけ次第で変わることってあるよね″ と重ねて言われます。 しかし、しかしですよ。仮に本には年間で数十万円課金しているけどその分服飾代に年平均1万円もかけず「チュニックって何? シュミゼットって何?」というレベルの人間がファッション誌に行ったとして、まるで興味を持てない対象に対してどんな仕事ができるのかと。 逆も然りで、文芸やマンガにまったく思い入れがない方がその編集部に配属されて作家やアシスタントや関係者と揉めて大きな問題に発展してしまうケースも少なくない気がします。 どんな仕事も本気で取り組めば見えてくるものは確かに多いとは思いますし、さまざまな知見は別の場所でも生きるのは解りますが、それでも文芸に詳しい人には文芸を、マンガに詳しい人にはマンガを担当してもらった方が読者のためにもなるのではと。 同じマンガ編集部であっても、例えば『アフタヌーン』と『なかよし』ではまったく違いますしね。そういう点では、白泉社などは新人は必ず行きたい部署に行けるシステムがあるそうですごく良いなと思います。 ものすごく脱線しましたが、冒頭からスタイリストさんに朝まで詰められる主人公が本当に不憫でならないのです。 本筋は歳の差ゆえに破れた片思いが記憶喪失という事件を通して蘇り、ひとつの嘘をついて危ういバランスを保ちながら進んでいくハラハラ感と恋のドキドキの二重奏の引きが強いです。 また加瀬アオさんの絵がとても良くて、全体的にすっきりと読みやすくありながら女子はかわいく男子は格好よく、適度なデフォルメ部分も愛らしいです。文字が詰まっていても気にならないほどネームも読みやすくて、今後ますます人気を博していかれるでしょう。 シンプルにエンターテインメント性が高い恋愛ストーリーで、仕事面でも恋愛面でもこの先が気になります。
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