中華街のバイキングも一人で行ってた。
あと、庶民的なご飯が多いのもいい。
ナガノはちいかわ作家じゃない
ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。