女しかいない世界で不自由と戦う
男が希少になってしまった世界。女は男がいなくても子供をもうけることが出来るようなり、それが常識とされているが、とある一族と一部の人間だけは自然に妊娠して出産すること可能なままであった。月に一度のしるしがある佐奈田は町から逃げ出し、男娼の麗峰と出会い、はずれ者同士ともに暮らしていたが、一族によって麗峰が拉致されてしまう…。 読み終わってすぐは壮大な世界のわりにシンプルなテーマだなという感想だったけど、読み返すとしみじみ深いなと思うようになってきた。女達が自由を得るための戦いってところで「マッドマックス怒りのデスロード」を思い出しました。
まさにこういう作品だった。鳥飼茜作品を初読でない身としては、鳥飼茜先生の性に対する扱い方が、感情論でない、冷静な視点を担保して創作しているということの分かったのがよかった。
性支配の逆転構造を持つ世界を描くことで、純粋に性の支配から解放された在り方を目指す。鳥飼茜先生の持つ主題のようなものが強く伝わってきた